日本総合研究所(日本総研)、イトーヨーカ堂、今村商事、サトー、シルタス、凸版印刷、日立ソリューションズ西日本の7社は1月11日、産地から小売店舗、消費者までのフードチェーン全域を3つの領域に分け、それぞれ食品ロス削減に関する実証実験を2022年1月12日から2月28日まで東京都内で実施すると発表した。
7社はフードチェーン全域を、産地~小売店舗、小売店舗、小売店舗~消費者の3つの領域に分け、それぞれ実証実験を行う。
産地~小売店舗の領域では、青果物が持つさまざまな情報のうち、これまであまり利用されてこなかった情報を活用した新たな価値を消費者に提供する販促を店頭で実施し、食品ロス削減への効果を検証する。
具体的には、収穫時の状態のほか、形や色味などの青果物の多様な情報を消費者に伝えることで、消費者の商品選択の幅が広げられるか検証する。また、IoT(モノのインターネット)を活用して商品の流通過程をリアルタイムで追跡しながら、流通状況に応じて店頭およびスマートフォン上で販促が可能かを検証する。
小売店舗における実証実験では、賞味・消費期限別に在庫を可視化し、電子棚札を活用したダイナミックプライシングを導入し、店舗における業務効率化と食品ロス削減への効果を検証する。
商品の価格変更の際に必要となる、値札の差替えや値引きラベルの貼付作業は、現場に負担がかかる。そこで、小売店舗において、店舗バックヤードから店頭の価格表示を更新できる電子棚札を活用することによる負担軽減を検証する。また、電子棚札を活用して、手作業による値引きラベルの貼付などでは難しかったより細かな金額幅での値段変更を行うことで、売上や粗利の向上、売り切り期間に変化があるかを検証する。
小売店舗~消費者の領域では、購買データや消費・廃棄データを「健康」という切り口で活用しながら、食品の購入・調理・保管を支援する消費者サービスとして提供し、家庭内での食品ロス削減への効果を検証する。
まず、買い物リストや栄養バランスを考慮した商品レコメンドをスマートフォンに表示させることによって、消費者の購買行動の支援が可能か検証する。また購買データと消費・廃棄データを連携させることによって、家庭内の在庫管理が可能かを検証。消費・廃棄データは、Bluetoothタグと重量センサーの組み合わせ、あるいは手入力により消費・廃棄時に取得する。
ほかにも、データを活用した調理支援、健康状態を購買データから予測してキャラクターの姿に反映させる、というゲーム要素を取り入れた形(ゲーミフィケーション)を活用した購買促進、消費・廃棄データによるデマンド型の需給予測なども実施する。
農林水産省によると、国内における食品ロス量は、2019年度時点で570万トン、それを企業などが排出する事業系(309万トン)と消費者が排出する家庭系(261万トン)でおよそ半々ずつ分け合っている。7社は協力を進め、消費者だけでは補えない食品ロスの削減を加速させる方針だ。