矢野経済研究所は1月7日、国内の屋内位置情報ソリューション市場を調査し、需要分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。2022年度の屋内位置情報ソリューション市場に関して、前年度比120.7%の49億8,300万円に拡大すると予測している。
国内の屋内位置情報ソリューション市場はこれまで順調に拡大してきたが、2020年度には一旦成長が止まり、31億8,000万円、前年度比99.7%と、前年度をわずかに割り込んだ。2021年度は再び市場を拡大させる見込みで、前年度比129.9%の41億3,000万円を見込む。市場は拡大傾向にはあるが、その勢いはやや停滞している状況であるという。
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響も薄れ、製造業を得意とする多くのベンダーの業績がコロナ禍前の水準を取り戻すと予測。また、都心のオフィスでの働き方の見直しの影響から、フリーアドレスの普及にけん引されて、市場を大きく拡大させていく見通しだという。
参入企業の状況としては、依然として測位技術ではBLEを採用している企業が多い傾向は変わらないという。自社で開発した特定の測位方法に特化して技術を提供することに注力する企業と、様々な測位方法をユーザーのニーズに合わせて選定し、システムをインテグレートして提供するポジションの企業とが存在しているという。 現状、BLEを扱う事業者が多いが、市場では屋内測位の本命と位置付けられる技術が存在しておらず、混とんとした状況が続いているという。
今後の市場展望としては、2021年度の屋内位置情報ソリューション市場(事業者売上高ベース)で41億3,000万円の見込みに対して、2022年度は前年度比120.7%、49億8,300万円になると矢野経済研究所は予測し、2024年度にはさらに前年度比127.5%の76億2,400万円になると見ている。
需要分野別では製造、物流等の現業分野の成長は、オフィス分野等に比べてやや遅れるみている。これまで主流であったBLEによる測位技術から別の技術が模索されている状況であり、次の市場の中心となる技術が定着するまで時間を要すると見ている。一方、オフィス分野に関しては当面、順調にその規模を拡大すると見込んでいる。