便利だけど高価なiPhone
日本は世界でiPhoneのシェアが高い国の一つだ。多くのビジネスマンや学生がiPhoneを使っている。インターネットを利用するデバイスのシェアはスマートフォンが最も多く、情報取得のためのデバイスとしてのみならず、コミュニケーションデバイス、ビジネスデバイス、学習用デバイス、エンターテインメントデバイス、ライフデバイスとして欠かすことのできないマルチファンクションツールとして日々使われている。
iPhoneは便利なデバイスではあるのだが、同時に高価なデバイスでもある。価格はモデルごとに異なっているが、最新モデルは定価で10万円以上になる傾向が見られる。廉価なモデルでも5万円以上が相場だ。容量を増やしたり保証をつけたりしたらもっと高くなる。最上位モデルを最大容量でさらに保証オプションを追加すると20万円を超える。
このように、iPhoneは簡単に買い替えができるデバイスではないのだが、悲しいことにスマートフォンというのは確実に劣化していく消耗品でもある。スマートフォンは使うほどに確実に劣化が進む。特にバッテリーは使うごとに消耗し劣化していく。使い方を誤れば1年で、通常の使い方をしていても2年くらいで体感としてバッテリーの保ちが悪くなったと感じるはずだ。さらに長期にわたって利用すると劣化が進み、1日は保たないといった状態になる。
これはリチウムイオンバッテリーの物理特性なので、絶対的に避けることができない。しかし、ある程度その特性を知ることで寿命を延ばせるようになるほか、ちょっとした設定で延命できる可能性もある。バッテリー交換をせずに2年以上使い続ける予定なのであれば、リチウムイオンバッテリーの特性と、寿命を延ばす方法は把握しておいて損はないと思う。
バッテリーに快適な温度で使う
iPhoneで使われているバッテリーはリチウムイオンバッテリーだ。リチウムイオンバッテリーは、iPhoneのみならずPCやタブレットデバイス、コードレス家電掃除機、ワイヤレスイヤフォンやスピーカーなど、さまざまな製品で使われている現代社会を支える重要なバッテリーだ。
このリチウムイオンバッテリーは劣化しやすい温度がわかっている。特に高温で使っていると劣化が進むことが明らかになっている。具体的には、人間が快適だと感じる温度がリチウムイオンバッテリーにとっても快適な温度だ、ということだ。
夏場にiPhoneを直射日光のあたる窓際に置いておく、自動車のダッシュボード上に放置する、冬場に暖房器具の近くに置いておくといったことをすると、バッテリーの劣化が進みやすくなる。iPhoneも人間と同じように快適な温度で過ごすことでバッテリーの耐用年数が延びやすくなる。
0%、100%にしない
リチウムイオンバッテリーはこれまでのバッテリーと比較して高速充電が可能で耐用年数が長いという特徴があるものの、完全に放電しきった状態で保管したり、100%の状態で保管すると劣化が進むことが知られている。空にしてもフルにしてもダメなのだ。これはリチウムイオンバッテリーの物理特性なのでどうにもならない。
例えば、寝る前にコネクタに接続しておき、朝起きたらバッテリーが100%という状態にしている人も多いだろう。また、デスクで作業している場合など、持ち運んでいる以外は常に充電していつでも100%という状態をキープしているケースもあるだろう。精神面でもiPhoneのバッテリがー常に100%状態は安心できるが、これは劣化が進む使い方なのだ。
どの程度の充電状態で使えばよいかという指針はいくつかあるが、持ち運んで使用するというスマートフォンの特性を考えると、50%~80%くらいをキープしておくと、劣化を抑えつつそれなりに実用的に使える状態をキープできると思われる。上限を80%と覚えておくといいだろう。上限80%くらいで使ったほうが、リチウムイオンバッテリーの耐用年数は延びる。
パソコンでは充電の上限と下限を設定できるものがある。例えば、充電する上限をバッテリーの80%まで、バッテリーの充電開始を50%を下回ったとき、などのように設定できる。充電の条件を満たしていない場合、電源に接続されていれば電源のみで動作しバッテリーへの充電は行われない。バッテリーの劣化がもっとも少ない条件を作り出せるというわけだ。
iPhoneはPCよりも持ち運んで電源に接続しない状態で使うことが多い。前述したような設定はデフォルトの機能としては提供されていない。しかし、AppleはiPhoneのバッテリー制御に改善を加えており、80%以上になったら充電速度を遅くしたり、ユーザーの生活パターンを加味して100%付近での充電タイミングを減らすなどの工夫を行っている。このため基本的に電源につなぎっぱなしでも以前よりはバッテリーの劣化は抑えられていると考えられている。
しかし、リチウムイオンバッテリーの特性を考えると、可能であれば上限80%というのを覚えておいて、80%を超えたら充電を終えるといった運用を行うとよいかと思う。