セイコーホールディングス傘下の半導体メーカーであるセイコーNPCが、栃木県に有する150mmウェハを用いた前工程生産ラインを2022年9月にも停止させ、全数を外部ファウンドリに製造委託する方向で調整を進めていると日刊工業新聞が12月23日付で報じている。
ただし、セイコーホールディングスならびにセイコーNPCからは現時点では、まだ何も公式発表はなされていない。セイコーNPCは、1975年に、第二精工舎出身者により日本プレシジョンサーキッツ(NPC)として設立され、2005年にセイコーの100%子会社となった後、2006年にセイコーNPCと社名変更し今日に至る。高精度・低電力のアナログ・デジタル混成ICに強みを持ち、水晶発振器用ICやセンサ、エンコーダなどの半導体製品の開発、製造、販売を手がけ、顧客の依頼でASIC開発・少量生産も受託していた。1980年代に建設された150mmラインは老朽化が進んでおり、これまでもかなりの割合の半導体製品をファウンドリに製造委託していた。
現在も進む日本半導体製造業の縮小傾向
2021年に入り、世界中で半導体不足が生じ、さまざまな機器の生産に支障が出ている一方、日本では、東芝のシステムLSI事業部門が3月末で事実上の事業撤退。多くの技術者が早期退職を余儀なくされた。ルネサス エレクトロニクスでも、滋賀工場(旧関西NEC)が閉鎖され、跡地が不動産会社に売却された。富士通セミコンダクター(FSL)の子会社「会津富士通セミコンダクターウェハーソリューション」も米Transphormと米国の投資会社JCP Capitalが設立したGaNovationに売却されて会津富士通という名称が消えた。
2022年もすでに分かっているだけでも、ルネサスの山口工場(旧山口NEC)が6月末をめどに閉鎖されるほか、今回報じられたセイコーNPCの前工程ファブも閉鎖される予定となっている。
日本の半導体製造業のシェアは年々右肩下がりを続けてきたが、その縮小・撤退の動きは現在進行形のままである。かといって、ファウンドリを活用するファブレスIC設計企業の新興が促進されている様子も見られず、世界ファブレスIC設計業界における世界市場シェアも1%程度(IC Insights調べ)の状態が長年続く状況となっている。