デジタルトランスフォーメーション研究所はこのほど、全国の自治体を対象に実施した「自治体DXアンケート調査」の報告書をまとめ公表した。調査結果は全国の1788の地方公共団体のうち、回答が得られた280団体の回答を集計したものだという。

調査で使用した自治体DX推進の成熟度レベルは、「レベル0(未着手)」「レベル1(一部での散発的実施)」「レベル2(一部での戦略的実施)」「レベル3(全体戦略に基づく部門横断的推進)」「レベル4(全体戦略に基づく持続的推進)」「レベル5(新たな価値の提供を持続的に実施できる状態)」の6段階。

  • 成熟度レベルの考え方 資料:デジタルトランスフォーメーション研究所

調査の結果、自治体の現在の成熟度レベルを分類したところ「成熟度1未満」と回答した自治体は79.6%にものぼることが明らかになった。レベル1以上2未満が18.9%、レベル2以上3未満が1.4%であり、DXに取り組んでいるとする自治体でも「一部での散発的実施」にとどまる団体が多いようだ。

一方で、 民間企業ではレベル1以上とする回答が7割ほどである。全体平均では民間企業が1.60であるのに対して自治体では0.63と半分以下。

  • 自治体と民間企業企業の現在値平均のヒストグラム 資料:デジタルトランスフォーメーション研究所

DXの進捗について聞くと、現在値ではばらつきが少ない一方で、3年後の目標設定はばらつきが大きいという。積極的な回答をした自治体と消極的な回答をした自治体でDXの目標値に差が出ていることが示唆される。

  • 左:自治体における各カテゴリの現在値の散布図 右:自治体における各カテゴリの目標値の散布図 資料:デジタルトランスフォーメーション研究所

DXが先行している自治体とそのほかの自治体で各設問の現在値を比較したところ、「トップのコミットメント」、「持続力」、「事業への落とし込み」、「ビジョンの共有」、「推進体制」の項目で差が大きかった。特に「トップのコミットメント」では、先行自治体の値が2.40なのに対し、そのほかの自治体では0.31と、最も差が大きい項目となった。なお、先行自治体は「特定カテゴリの設問における現在値の平均が1.5以上の自治体」と定義している。

  • 先行自治体とその他自治体の各設問(カテゴリ1)の現在値の平均 資料:デジタルトランスフォーメーション研究所

また、自治体区分別の分析を見ると、都道府県が総じて成熟度が高く基礎自治体は低い傾向にあるとのことだ。都道府県では人材に関する設問で積極的な目標を設定しているのに対し、基礎自治体ではビジョンやDXの必要性の共有などに積極的な目標を設定しているという。