凸版印刷とsoucoは12月24日、物流分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する倉庫ソリューション開発における協業に向けて、資本業務提携を締結したことを発表した。

今回の提携により両社は、凸版印刷および同子会社のアイオイ・システムが保有する物流倉庫の運用支援システムと、soucoが持つ倉庫の遊休スペース活用サービスを融合して、多様化する保管需要に対してITを活用したアセットライトな物流倉庫の運用を支援するビジネスの開発を進めるという。

soucoが運営する、倉庫の空きスペースと荷物の保管場所を探す荷主のマッチングプラットフォーム「souco」は、一時的かつ小ロットの保管を目的とした利用者が多く、荷姿(梱包の状態・外観)ごとの単純保管と入出庫を主としてサービスを提供している。今回の提携により、アイオイ・システムが保有するデジタルピッキングシステムを活用して、ピッキングおよび仕分け工程の効率化を推進するソリューションを開発するのことだ。

また、倉庫利用者に提供するピッキングや仕分け、梱包配送などを含めたオペレーション業務を行うための企画立案とサービスメニューの開発を行い、BPO(business process outsourcing:業務プロセスの外部委託)サービスも検討するとのことだ。

特に近年は国内の物流業界において深刻な人手不足であり、デジタル技術によって物流業界全体の労働環境の改善や、人手不足を解消するためのロジスティクス・エコシステム構築の動きが加速している。

凸版印刷はRFID(Radio Frequency Identification:近距離無線通信による自動認識技術)を活用したトレーサビリティシステムや、製造工程のデジタル化を支援する製造DXソリューション「NAVINECT」などを展開するとともに、5GやIoTセンシング、AI、ロボット技術の研究などにも取り組んでいる。

2021年6月にはデジタルピッキングシステム事業を展開するアイオイ・システムを子会社化し、両社の持つ商品や技術を組み合わせた物流運用支援サービス開発を進めている。

一方のsoucoは、B to Bでの倉庫シェアリングを中心とした物流サービスプラットフォーム「souco」を展開する。同サービスは、物流施設および倉庫の空きスペースを抱える企業と保管スペースを必要とする企業の情報を集約し、1年未満の短期利用を中心に小ロットから1000坪単位での倉庫利用をマッチングするものだ。

革新的なロボティクス技術やソリューションの登場、ピッキング工程に特化した新たな自動化技術の台頭への期待が高まる現代において、両社はそれぞれの強みを生かして物流DX分野における倉庫ソリューションや新たなビジネスモデルの開発を目指す。