英国の移動体衛星通信サービス大手インマルサット社の衛星を搭載したH2Aロケット45号機が23日午前零時32分、鹿児島県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられた。約26分後、衛星を正常に分離し打ち上げは成功した。H2Aは大手外国顧客が注力する次世代型衛星の初号機を軌道に投入したことで、商業打ち上げの世界市場に信頼性を示した。
H2Aは政府の基幹ロケットの一つ。三菱重工業が製造と打ち上げを実施し、外国の衛星を打ち上げたのは5回目。これまでに2012年の韓国の地球観測衛星を皮切りに、カナダ企業の通信放送衛星(15年)、アラブ首長国連邦(UAE)の地球観測衛星(18年)と火星探査機(20年)の実績を持つ。
打ち上げ後の会見で三菱重工業の阿部直彦常務執行役員防衛・宇宙セグメント長は「世界有数の衛星オペレーターに信頼性とオンタイムの打ち上げを評価され、サービスを提供でき大変光栄だ。期待に応えたことで業界での評価を一層上げた。(開発中の後継機)H3へと実績を引き継ぎたい」と述べた。
H2Aは打ち上げ成功率97.77%、昨年5月に運用を終えた強化型のH2Bと合わせ48機連続成功となった。政府の宇宙基本計画工程表によると、H3の初号機を今年度中に打ち上げる。H2Aは2023年度までに5回が残っている。H2Aの標準型は2基の固体ロケットブースターを備える。今回は4基を備えた強化型では最後の打ち上げとなった。
今回搭載した「インマルサット6 F1」はインマルサット社の第6世代通信衛星シリーズの初号機で、LバンドとKaバンドと呼ばれる2つの周波数帯に世界で初めて同時対応。重さ5.5トン(燃料込み)と、過去最大の商業通信衛星という。H2Aにより遷移軌道に投入後、電気推進で半年あまりかけ静止軌道に到達する。
同社はH3による衛星打ち上げも2018年に発注済み。マーク・ディッキンソン副最高技術責任者は「今回の成功を確信していた。今後はさらにH3で打ち上げる。願わくば、これが長い関係の始まり。三菱重工業がどんなサービスを市場に提供するのか注目していく」と述べた。
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