TSMCは12月16日、HPC分野の厳しい要求に対応する5nmプロセスの機能拡張版「N4X」を発表した。

N4Xは、TSMCがHPCに焦点を合わせたプロセステクノロジーの最初のものであり、5nmプロセスファミリとして最高性能と最大クロック周波数を提供することを特徴としており、5nmプロセスでの量産経験をもとに、HPCが求める理想的なプロセスの提供を可能としたとしている。

主な機能としては「高駆動電流と最大周波数に最適化されたデバイス設計と構造」、「高性能設計のためのバックエンド金属配線積層の最適化」、「堅牢な電力供給のための超高密度MIM(金属-絶縁体-金属)コンデンサ」を採用しており、一般的な5nmプロセス(N5)と比べて最大15%、1.2V使用時におけるN4P(4nmプロセス改良版)と比べても最大4%のパフォーマンス向上を実現できるとしている。

またユーザーは、N5プロセスの一般的な設計ルールを利用して、N4X製品の開発を行うことができるとしており、TSMCではN4X製品のリスク生産について、2023年前半までに始められる見込みとしている。

なお、TSMCの事業開発担当シニアバイスプレジデントであるKevin Zhang(ケビン・チャン)氏は、「要求の厳しいHPCセグメントのニーズに対応するために、TSMCはN4X技術を提供することで、高いパフォーマンスを実現するほか、3次元実装技術『3D Fabric』と組み合わせることで、柔軟なHPCプラットフォームの提供を行っていく」と述べている。