台湾経済部(日本の経済産業省に相当)の投資審査委員会は12月20日、第1208回委員会を開催し、熊本に半導体前工程ファブを設立するためにTSMCが2378億円の海外投資を行う申請を承認したと複数の台湾メディアが報じている。
台湾から日本に持ち込むプロセス技術は28~22nmの成熟(マチュア)プロセスであり、ハイエンドのプロセス流出に当たらず、台湾の半導体業界が依然として国際競争上優位を維持できることを経済部は確認したうえでの承認したという。新会社は、TSMCとソニーグループの子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズとの合弁で、ソニー側も5億ドル(570億円)程度出資するとしている。新会社のTSMCの当初の持ち分は最大81%とすることも投資審査委員会で承認された。
TSMCは、「半導体基板処理サービスの提供」を目的として、すでに熊本市中央区に「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)」という名称で新会社(設立当初の資本金=28億7875万円)を設立する手続きを終えている。JASMは、熊本県菊陽町のソニー熊本テクノロジーセンタ隣接地に2022年より工場の建設を開始する予定で、生産開始は2024年末を予定している。28~22nmプロセスのスペシャルティテクノロジー(CMOSイメージセンサ、MEMS、組み込みNVM、RF、アナログ、高耐圧、BCDパワーなどの特殊プロセス)プラットフォームを用いて特殊デバイスを月産4万5000枚(300mmウェハ)製造するとしている。従業員数は1500名を予定しているが人材確保のめどはたっていないという。