TrendForceによると、2021年第3四半期の半導体ファブレス企業上位10社の総売上高は、前年同期比45%増の337億ドルとなったという。
トップ10社を見ると、台湾企業が、従来からランクインしているMediaTek、Novatek、Realtekに加え、新たにHimax Technologiesが10位にランクインするなど躍進が目立つ。その一方で残念ながら、日本勢はトップ10に入れていない状況が続いている。同社によると、日本のファブレス企業の売上高合計シェアは世界市場の1%ほどだという。
トップのQualcommは、主軸の携帯電話(スマホ)メーカーからの5Gスマホに対する堅調な需要に支えられる形で、プロセッサおよびRFフロントエンド(RFFE)部門の売り上げが増加している。また、IoT部門も、家電、エッジネットワーキング、および産業部門での強い需要を背景に、各事業部門の中でもっとも高い成長率となる同66%の収益の伸びを記録したという。
2位のNVIDIAも、ゲームグラフィックカードとデータセンターの2つの主要部門の成長率がそれぞれ前年同期比53%と同48%と大きく伸ばした結果、全体の売上高も同55%増の66億ドルとなった。3位はBroadcomで、その主な収益源は、ネットワークチップ、ブロードバンド通信チップ、ストレージおよびブリッジチップ事業となった。新型コロナウィルス感染拡大によるリモートワークなどを背景にした企業のクラウドへの移行の加速が、同社のチップ需要を増やしたと見られている。
4位のMediaTekは、5G需要の後押しを受け成長を続けており、同社のスマホ向け製品売り上げは同72%増と大きく伸ばしており、ほかの製品も同2桁増の成長を遂げていることもあり、同四半期の売上高も同43%増の47億ドルと伸ばしている。また同じく台湾系の6位のNovatekは、SoCとパネルドライバICという2つの製品群に注力しており、中でもOLEDパネルドライバICの出荷が増加。平均販売価格も上昇しており、事業全体の同四半期の売上高も同84%増の14億ドルと、トップ10社中もっとも高い成長率を記録している。
さらに、同じ台湾系の8位のRealtekは、売上高でXilinxを上回る形で順位を上げたほか、10位に入ったHimaxは、大型のドライバICが、TV、モニター、ノートブックの3つの主要製品ラインで成長を遂げたとのことで、その売上高は同111%増となったという。その結果、全体の売上高も同75%増の4億ドル超えを達成、トップ10入りを果たしたとする。
なおTrendForceによると、全体として主要なファブレス企業の2021年第3四半期の売上高は、いずれも史上最高レベルに達しているとしているが、例年第1四半期はエレクトロニクス業界のオフシーズンにあたるため、ファブレス各社は成長が期待されるサーバおよびデータセンター製品の積極的な開発に注力しているという。