メルクのエレクトロニクス部門の日本法人、メルクエレクトロニクスは12月21日、メルクと企業向けオペレーティングシステム開発企業であるPalantir Technologiesが、半導体サプライチェーンにおける情報共有の向上と半導体不足への対応を目的とする共同アナリティクスプラットフォーム「Athinia」の始動に向けてパートナーシップを締結したことを発表した。
メルクとPalantirは、2017年に協業を開始しており、研究者に直感的な分析技術を提供し、異種ソースからのデータ集約、分析、共有を可能にすることを目的とした「Syntropy」にも取り組んでいる。今回の取り組みは、これまで各企業が個別に蓄積していたデータを、包括的に分析するプラットフォームを構築することで半導体バリューチェーンにおける課題解決を支援することを目的としたものだという。
また、材料の品質向上やサプライヤーとの関係強化を支援する一元化されたプラットフォームとして、半導体ファブによる製造工程のイノベーションの加速を実現するほか、サプライヤーに、スマートなデータ統合による社内の業務効率化や納入先ファブとの連携強化などの効果をもたらすとしている。
Athiniaが採用しているPalantirのデータ運用システムを構築するためのプラットフォーム「Palantir Foundry」は、異種ソースから得たデータの構造化や分析を通してインサイトを生み出し、ユーザがオペレーション上の意思決定を行うことを可能にするとともに、機密データがデータプライバシー規則に沿って確実に処理されることを支援することが可能。また、責任あるデータ活用を支援するために、世界最高水準のセキュリティ、アクセス制御、パーティショニング、監査、およびアカウンタビリティ機能を提供するように設計されているとしている。
両者はこれまでも顧客向けに品質の安定化と生産性向上を支援する共同データアナリティクスプロジェクトを手掛けてきており、Athiniaは、その実績とPalantirの専門知識を活用し、半導体材料の最適化に向けた顧客の意思決定プロセスの改善を支援するものだという。
メルクは近年、主要な半導体企業と共同し、重要課題への対応に向けたAI・データアナリティクスの活用に取り組んでおり、Micron Technologyと共同で、CMP工程における高度な予測製造を可能にするデータ共有プラットフォームを開発し、AI駆動型手法の導入によるプロセスと品質の改善を推進するスマートデータ連携を実現した実績がある。
なおAthiniaは、メルクのエレクトロニクス部門から独立して運営され、メルクのCSO兼CTOのローラ・マッツ氏がCEOに就任するとしている。