サッポロビールとKDDIは12月20日より、恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区)にて、XR技術を活用して「エビス」ブランドと恵比寿の街をつなぐ体験プロジェクト「XR Project @YEBISU β.ver」を開始する。

XRとは、AR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:拡張現実)など、現実の景色とデジタルでつくり上げられた仮想世界を融合させて表現する技術の総称だ。

恵比寿ガーデンプレイス内に設置された対象スポットの二次元コードにスマートフォンをかざすことで、恵比寿の街とエビスビールの歴史を体験できる。

  • ARでスマートフォンの画面上にデジタルの花火やエビス像が表示される

XRを体験可能な対象スポットは恵比寿ガーデンプレイス内の時計広場、同広場内にあるジョエル・ロブションのシャトー前、エビスビール記念館の3カ所。現地ではAR技術により実際の風景上にデジタルコンテンツを投影して体験できるほか、自宅などにいながらも「au XR Door」によりVRで恵比寿の街を楽しめる。

  • 現地の対象スポットには、二次元コードが設置されている

現地で体験可能なARコンテンツを支えているのは、VPS(Visual Positioning System)だ。同技術はGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の発展系に位置付けられ、現実世界のデジタルツインとなる3Dマップ(3Dメッシュ)と、スマートフォンが撮影したカメラの映像を照合して位置を特定するシステムである。

GPSと比較してより正確に位置情報を特定できるだけでなく、向きや方位などの高精度な位置情報を把握可能だ。あらかじめ特定の空間を撮影したデータからコンピュータが認識可能な特徴点を抽出しておくことで、コンテンツ体験者が撮影した映像と特徴点を照合して位置情報を把握する仕組みである。

今回はヱビスビール記念館内を360度カメラを用いてあらかじめ撮影していたのだという。さらに、デジタル空間上に投影されるエビス像は実在の像を再現したもので、被写体をさまざまなアングルから撮影することで3DCGモデルを作成する「フォトグラメトリ」と呼ばれる技術が用いられているとのことだ。

また、時計広場ではスマートフォンを向けている方角に合わせて、約130年前のビール工場や鉄道発着所などの風景が重なって表示される。

  • 実在の像を3Dモデルにしたというエビス像

  • 時計広場から見た風景のイメージ

KDDIのサービス統括本部で5G・XRサービス企画開発本部に所属する水田修氏は「今回のプロジェクトはより多くの人に楽しんでいただこうと、スマホアプリではなくブラウザで体験可能なシステムを構築した。スマートフォンは機種によってカメラの画角や性能が若干異なるため、利用者の機種に応じて撮影される像が少しずつ異なるが、ブラウザではカメラなどハードウェアの情報を取得できずに苦労したが、映像のキャリブレーション(校正)を技術的にクリアして皆さんにXR映像をお届けできるようになった」と語った。

  • KDDI サービス統括本部 5G・XRサービス企画開発部 サービス・プロダクト企画1G グループリーダー 水田修氏

同プロジェクトのうち、恵比寿ガーデンプレイス内の時計広場およびジョエル・ロブションのシャトー前で体験可能なコンテンツは2022年3月31日まで提供され、エビスビール記念館内で体験可能なコンテンツはは2023年3月31日まで提供されるとのことだ。

2022年2月下旬を目途に、スマートフォンの代わりに、KDDIが展開するスマートグラス「NrealLight(エンリアルライト)」を利用してARを体験可能なヱビスビール記念館見学ツアーも予定されている。