メルカリは12月16日、NFT(Non-fungible token)事業に参入すると発表した。パシフィックリーグマーケティングと連携し、パ・リーグ6球団の名場面をコレクションできる「パ・リーグ Exciting Moments β」の提供を12月中に開始する。
NFTとは、非代替性トークンという意味で、ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位のことを指す。デジタル上で何かしらのコンテンツを唯一無二のものとして所有することができる技術のこと。
今回、メルカリとパシフィックリーグマーケティングは、パ・リーグ6球団で活躍する選手の試合映像をデジタルコンテンツ化して数量限定で販売する。シーンや選手に応じてレアリティが異なり、2,000円~25,000円の価格帯で、クレジットカード決済で購入することが可能。購入したコンテンツはダウンロードして保有するほか、サービス内のシェア機能を活用してSNSなどでシェアすることができる。
現在はデジタルコンテンツに、IDやモーメントの日付、プレイヤーの経験年数といった固有データを付与しているだけだが、2022年以降にはブロックチェーン技術を活用して、唯一無二のコンテンツにしていくとのこと。
ブロックチェーンはカナダのDapper Labsが開発するFlowを採用する予定で、今後は、2次流通を促す再販機能の提供や、暗号資産での決済、ブロックチェーンでのコンテンツ管理など順次サービスをアップデートしていく方針だ。
メルカリ執行役員NFT担当の伏見慎剛氏は、「今回の事業では、ファンコミュニケーションの進化と、ブロックチェーンやNFTの大衆化を目指す。大衆化を進めるために、魅力的なコンテンツを用意するとともに、使い勝手の良さにもこだわっていく」と説明した。
新型コロナウイルスの感染拡大により、プロ野球においては無観客や観客上限を定めての試合開催が続いており、チケット販売、飲食販売、グッズ販売などの機会が大きく減少し、前年比半減近い売上となった球団もある。直接的なコミュニケーションの機会が失われることによるファンの減少も想定される。
パシフィックリーグマーケティング代表取締役CEOの根岸友喜氏は、「NFT事業で既存ファンのファン離れを防ぎつつ、新しいターゲット層にもアプローチをかけていく。サービス開始初期は現役選手コンテンツのみの提供だが、今後は過去のレジェンドの名シーンも展開していく。2025年までに2000万人のファンを目指す」と意気込みを見せた。