東京大学生産技術研究所(東大生研)は12月13日、「駒場分析コア設立記念式典」を開催し、駒場分析コアの共用装置や利用について説明を行った。
「駒場分析コア」とは、2021年5月に生産技術研究所に設置された分析装置共用管理のための分科会。学内はもちろん、学外の研究施設、企業でも利用申請を行うことで、東大生研が持つ分析装置を利用することが可能だ。
購入の場合1台数千万円する高価な分析装置だが、駒場分析コアでは1日利用で数万円から利用が可能だ。装置によっては利用講習まで行っている場合がある。
東大生研では駒場分析コア設立以前も分析装置を学内や、他学部、学外と共同利用を行っていたが、2020年に東京大学・ベンチャーエコシステム(uTIE)の支援により、集束イオンビーム加工装置(FIB-SEM)、共焦点顕微鏡、質量分析装置、セルソーターを導入したことを契機に、駒場分析コアを設置に至ったという。
上記の装置以外にも透過型電子顕微鏡や精密イオンポリッシャー、大気中光電子収量分光装置といった以前から東大生研が有していた装置も利用することが可能だ。
東大生研によれば、すでにベンチャー数社や学内で利用実績があり、駒場分析コアを利用した結果を学会で発表を行った例などもあるという。
東大生研の所長を務める岡部徹 教授は記念式典で「装置を共同利用することによる研究費の効率化だけでなく、装置を借りる際にさまざまな学生、教員とやり取りすることで、新たなアイデアや共同研究が生まれることもしばしばあると考えている」と期待を述べた。
利用申請は、駒場分析コアのWebサイトに記載されている各装置担当者に連絡し、利用に向けた調整を行う。
現在は、各研究室が装置を管理し、事務処理を駒場分析コアが代行しているが、今後は装置の管理も含めた専任の担当者を配属する構想もあるようだ。
東大生研が持つ最新装置の利用を学内外に広く開くことで研究組織や民間・ベンチャー企業をサポートすることでベンチャービジネスにおけるイノベーション創出や学術研究に貢献したいとの想いから設立された駒場分析コア。
今後どのような活用事例が出てくるのか、非常に興味深い。