パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は12月10日、Microsoft Dynamics 365(Dynamics 365)の簡易導入サービス「Quick Start Service(QSS)」の販売を発表した。同日には記者説明会が開催され、同サービスの概要や特徴が紹介された。

同サービスは、販売・購買・在庫・財務機能に特化した最小限の設定と開発をテンプレート化した、中小企業向けのDynamics 365のパッケージサービスだ。

同社は、Dynamics 365の営業支援モジュール「Dynamics 365 Sales」とDynamics 365のERPパッケージ「Dynamics 365 Business Central」の導入や保守支援などのサービスを提供する。このほか、Dynamics 365のCRM・ERP連携、Power Platformの各種ツールのトレーニング、Dynamics 365とPower Platformの連携のためのHackathon(ハッカソン)のサービスをオプションで提供する。

  • 「Quick Start Service」の製品概要

QSSの提供にあたって同社は、1次プロジェクトとして「営業」「販売」「購買」「在庫」「会計」領域の導入を行い、マスタ作成、BPR(ビジネスプロセスエンジニアリング)や業務移行に時間がかかる機能(製造、修理/保守、プロジェクト管理、カスタマーサービス)は2次プロジェクトで実施するといった、段階的なサービス導入を行っていくという。

パシフィックビジネスコンサルティング 取締役/事業戦略部の吉島良平氏は、「『レジリエンスなサプライチェーン』『テレワーク・ペーパーレス対応』『分断されたデータ/組織』『グローバル対応』『人材不足』という課題を多くの企業が抱えており、課題解決に向けてDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めているが、中小企業は大企業に比べてリソース(ヒト・カネ・モノ)が圧倒的に不足している。中小企業のリソース状況を考慮しながら、機能を段階的に拡張していくことで、1年間かけて社員のIT人材化、システムの内製化、中小企業のDX化を支援していきたい」と語った。

  • パシフィックビジネスコンサルティング 取締役/事業戦略部 吉島良平氏

Dynamics 365 Salesの導入支援サービスである「Quick Start Service for Sales Pro」の提供価格は400万円からとなる(Dynamics 365 for Salesのライセンス費用、保守・メンテナンス費用は含まれない)。実装範囲はリード管理、商談管理、行動管理で、導入スケジュールは1.5カ月から。

Dynamics 365 Business Centralの導入支援サービスである「Quick Start Service for ERP Pro」の提供価格は1000万円からとなる(Dynamics 365 Business CentralおよびPBCが開発する日本商習慣向け機能 J-Packのライセンス費用、保守・メンテナンス費用は含まれない)。実装範囲は販売管理、購買管理、在庫管理、財務会計、管理会計、固定資産で、導入スケジュールは3カ月から。

どちらのサービスも、まずは有償の事前ワークショップ(50万円)を行い、自社にサービスを適用できると判断した場合、そのまま本格導入に向けてヒアリング、システム構築、トレーニングなどが実施される。本稼働後は運用保守サポートのための保守契約をPBCと締結する。なお、事前ワークショップに参加した企業は、事前ワークショップのコスト分が総費用から割り引きされる。

  • サービス導入までの流れ(「Quick Start Service for Sales Pro」の場合)

オプションの「CRM/ERP連携サービス」の提供価格は300万円、「Power Platformトレーニング」の提供価格は150万円、「Hackathon」は300万円となる。

Hackathonのサービスでは、例えば、生産実績や棚卸結果などを管理するアプリケーションをPower Platformのツールで作るプロジェクトを通じて、自社での内製化を現実的にどの程度進められるかを検討していく。CRMとERPどちらかと一緒に組み合わせて、自分たちで作ったアプリを導入し、慣れてきたところであらためてHackathonを行う。そこで次のフェーズで目指すことや内製化可能な他の領域を検討する。

「内製での開発・導入、定着化と振り返りといったDX時代に必要な実践的なアプローチを経験することで、内製化に必要なノウハウの蓄積を目指し、一般社員のIT人材化を促す」(吉島氏)

説明会では、日本マイクロソフト ビジネスアプリケーション営業本部 担当部長の宮本浩史氏が登壇。同社のテクニカルカンファレンス「Microsoft Ignite」で発表された機能アップデートの中から「Collaborative Business Apps」「Dynamics 365 Supply Chain Insights」「Microsoft Customer Experience Platform」といったCRM/ERP向けの機能が紹介された。

  • 日本マイクロソフト ビジネスアプリケーション営業本部 担当部長 宮本浩史氏

宮本氏は、「DXを推進していくうえで、単体のソリューションでは解決できない領域がある。ビジネスにおけるコミュニケーション基盤となるMicrosoft 365、Office 365、AI、認証・セキュリティの基盤となるMicrosoft Azureといった、トータルソリューションを提供できる点が当社の特徴だ」と述べた。