IT系調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は12月9日、国内のマネージドEDR(Endpoint Detection and Response)サービス市場規模推移および予測を発表した。これによると、同市場の2020年度の売上金額は67億8,000万円で、前年度比73.8%増と急成長をみせている。
大企業を中心にEDR市場は拡大を続けている一方で、EDRは日々適切な運用を行わなければ導入効果が得られないため、慢性的なセキュリティ人材不足から運用にかかる負荷が課題となっている。
そこで、セキュリティサービスベンダーがEDRの構築・ライセンス販売だけでなく、SOC(セキュリティオペレーションセンター)でEDRの監視・分析を行い、インシデント発生時の初動対応支援などを行う、マネージドEDRサービス込みで提供するケースが一般化し、同サービスの参入ベンダーが増加していることが同市場の急成長の背景にある。
EDRベンダーの増加およびEDRの導入拡大に伴い、監視対象のEDRソリューションを拡大するサービスベンダーや、中堅・中小企業をターゲットにしたサービスベンダーの参入もみられる。ITRは、2021年度は前年度比53.5%増の104億1,000万円を見込んでおり、マネージドEDRサービス市場のCAGR(2020~2025年度)は22.4%、2025年度は186億円に達すると予測している。
ITRのコンサルティング・フェローである藤俊満氏は、「EDRが検知する不審な振る舞いを適切に判断し、処理することはユーザー企業には難しく、専門のSOCサービス(マネージドEDRサービス)を利用するケースが増えている」とコメントしている。