富士通は12月9日、マサチューセッツ工科大学(Center for Brains, Minds and Machines)と共に、学習時のデータと傾向が大きく異なる未知のデータ(以下、OODデータ:out-of-distribution)に対しても高い認識精度を示すAI技術を開発したことを発表した。

  • AIがOODデータを高精度に認識するモデルのイメージ

近年はディープニューラルネットワーク(以下、DNN)の登場によって人と同等以上の性能を発揮するAIが構築される一方で、学習時に想定していなかったOODデータに対してはAIの認識精度が大幅に低下する点が課題であった。また、同じ物であっても色合いや角度などが異なるデータを網羅的に学習させることも現実的ではない。

そこで両者は人の認知特性と脳の構造に着想を得て、AIがOODデータを高精度に認識できる技術の開発に至ったのだという。同技術は、人が物を認知する際に形や色などの見え方に違いがあっても、それらの視覚情報を脳内で正確に捉えて分類できることに着目している。

複数の画像データをDNNに入力した際に生じる、ニューロンにおける対象物の見え方と分類の反応から独自の指標を算出して、この指標の数値が高くなるようにDNNの学習を促進させることでAIの認識精度を向上させるという。

従来はDNNを分割せず1つのモジュールで学習させることが認識精度の高いAIを実現する最良の手法だと考えられていたが、今回算出した指標に基づいてDNNを物の形や色などの属性ごとのモジュールに分割して学習させることで、認識精度が高いAIを実現できたとのことだ。