World Inequality Labは12月7日(米国時間)、世界の富、所得、ジェンダー、経済的不平等に関する最新データをまとめた報告書「World Inequality Report 2022」を公開した。同報告書は世界中の100を超える研究者による数年間の研究成果に基づいており、世界の不平等が依然として極めて顕著な状況であり、20世紀初頭の西欧帝国時代のピーク時と同じくらいの規模になっていると報告している。
同研究所は新型コロナウイルス感染症によって、超裕福層とそれ以外の人々の間の不平等が悪化したと説明。比較的豊かな国では政府の介入によって貧困の大規模な拡大を防ぐことができたと指摘しつつ、貧しい国ではそうはいかなかったと述べている。
報告書が掲載されているWIR.Worldでは、自身の所得や富が相対的に見てどの位置にあるかを表示するシミュレータ「Income Comparator」を公開している。このシミュレータを使うと日本における相対位置のみならず、世界と比較して給与や所得、資産がどの程度の位置にあるかを調べることができる。
例えば、令和元年度版の「第145回 国税庁統計年報」によると、令和元年における平均給与(年収)は男性で539万7千円、女性で295万5千円とされており、夫婦共働きで賃貸暮らしまたは住宅ローン返済中で、自社株などを持っていないという条件でシミュレートすると次のようになる。
類似したデータは経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)や世界銀行も提供している。こうしたデータはカバーされている期間が限られているほか、自己申告による調査に基づいており上位所得者や上位の富のシェアが過小評価されていることが知られている。これに対しWID.Worldで使われているデータは国民経済計算と調査データに財政データソースを組み合わせており、所得と富に関して上層から下層まで広く信頼性の高いデータを提供していると説明されている。