東陽テクニカは、自動運転システムやADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)開発者向けに、シミュレーション環境を構築する際、必要な景観の3Dモデルを撮影したCV (カメラベクトル:カメラ位置と姿勢データの値を含む)映像から作成するサービスを開始した。
サービスは岩根研究所の「Ortho Creator(オルソ クリエイター)」と「CVCG Modeler(シーヴィ モデラー」を活用。「Ortho Creator」は、同社の専用測定車両で測定したCV映像から道路面の高解像度のオルソ画像(地形のひずみを補正した航空写真画像)を自動的に作成することができるツールで「CVCG Modeler」は、CV映像から図化情報を抽出して3Dモデルを構築し、実映像からテクスチャーを合成し、ポリゴンに自動で貼り付け、道路標識や建物、信号などをシミュレーション環境に忠実に再現することができる。
ADAS搭載車両の開発では、車両の統合ECU(Electronic Control Unit)ソフトウェアの検証に公道試験に加えて、シミュレーションでの検証も並行して行われており、そのためにリアルな景観を持つシミュレーション環境の構築が必要となっている。シミュレーション環境は信頼性の担保のため100億kmもの膨大な走行距離データが必要とされており、これらの3DデータをCGで作成する場合のコストや制作期間に加えて、検証のために必要な道路のタイヤ跡やかすれた白線などのリアルな路面データをCGでどこまで再現できるかなど多くの課題を抱えていた。今回の岩根研究所の2つのツールを活用することで、自動運転システムやADAS開発に必要なリアルなシミュレーション環境を効率的かつ短期間で構築できるとしている。
ツールを開発する岩根研究所は1974年設立。映像技術の開発を進めながら、建設省関東技術事務所との共同で道路ビデオ 3DGIS(地理情報システム)技術や2次元全天球映像を3次元化するCV技術などの開発を行っている。