半導体不足の影響で、足りない半導体を「流通在庫品」を用いて対応するメーカーも増えてきている。
流通在庫品とは、半導体メーカーや正規代理店以外の仕入れ先から調達する商品のことで、主にインターネット上で入手することが多いようだ。
しかし、流通在庫品はメーカーの保証対象外で流通履歴が不明のため品質保証がされず、模倣品が含まれているリスクがある。
模倣品には廃棄品やリサイクル品を再利用したものや本来なら廃棄する規格外の不良品、コピー品(偽造品)、別会社の半導体の捺印を書き換えたリマーク品などがある。
これらの模倣品は品質が保証されないため、組み込んだ製品が正常に動作しないことや消費者の安全を脅かすことなどが懸念されている。
そんな中、注目を集めているのが半導体の真贋判定サービスだ。同サービスを提供するOKIエンジニアリングにサービスの概要などを伺った。
OKIエンジニアリングは長年にわたり、半導体など電子部品の信頼性評価試験や環境試験、製造不良品の原因特定といったサービスを提供してきた。その中で半導体の真贋判定も行っていたが、サービス化はしておらず、問い合わせがあれば対応するような形だったという。
しかし、2020年秋ころから問い合わせが急増し、月に2桁を超える問い合わせがある状況が続いたため、2021年6月より半導体・電子部品の流通在庫品向け「真贋判定・信頼性試験サービス」として上市した。
同サービスでは正規品と比較した外観検査や、内部検査を通して真贋の判定を行い、要望があれば、電気的特性を測定し動作を確認する機能試験や、市場で動作を保証できるかどうかの信頼性試験までを行う。
外観検査では、顕微鏡を用いてシリアル番号や企業ロゴ、インデックスマークの有無 などの正規品と比較したり、X線を用いた内部の配線パターンの違いを確認して真贋を判定する。
同社ではもともと真贋判定や信頼性試験を行っていたため、既存の設備を用いて試験を行っている。
正規品との比較で真贋を判定するため、基本的にはクライアント側で正規品の用意が必要だが、基板実装品の使用やOKIが持っている半導体データベースに情報があれば、それを用いることも可能とのことだ。
OKIエンジニアリングの高森圭事業部長によれば「真贋判定サービスは、現在だいぶ混雑している状況」という。
なお、同社の検査では約3割が模倣品と判定されるとのことだ。クーリングオフが適用される場合もあるため、クーリングオフ期間内に検査をしてほしいという要望もあるようだ。
現在、半導体各社が設備投資を行っており、その効果が出始めるのは早くて2022年夏ごろという見方もあるが、先行きは不透明。
真贋判定サービスの需要はまだまだ高まりそうだ。