ヴイエムウェアは11月25日・26日、年次イベント「VMworld 2021 Japan」を開催した。26日の基調講演の冒頭、代表取締役社長の山中直氏は、「今年のテーマは『Imagine that - 未来を描こう』。日本の顧客とともに日本のマーケットを日本の社会にフォーカスして、未来を描いていきたい」と語った。
企業に求められる攻めと守りを両立したデジタル戦略
昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が多いが、山中氏は「企業は今、攻めと守りのデジタル戦略が求められている」と述べた。
「攻め」の側面では、デジタルテクノロジーを活用した新規ビジネスの開発、継続的かつアジャイルなサービスのリリースが必要だが、企業はデジタル人材の育成や先進技術への対応といった課題に直面しているという。
一方、「守り」の側面では、既存ビジネスのイノベーションや基幹システムへの対応が必要だが、企業はノウハウの継承やブラックボックスといった課題に直面しているという。
そして、山中氏は二刀流は「ANDが求められる改革」と訴えた。これはITを活用する上で相反するものを両立させることを意味する。例えば、「リフト&シフトとクラウドネイティブ」や「仮想マシンとコンテナ」において、どちらかを選ぶのではなく、両方使えるようにすることをヴイエムウェアは目指している。
さらに、山中氏は攻めと守りのデジタル戦略を大谷翔平選手の二刀流になぞらえ、「今年、大谷選手は素晴らしい成績を収めたが、そのポイントは、守りである投手の中にも打者に対する攻めがあったこと。二刀流の戦略においても攻めと守りを両立していく必要がある。VMwareは二元化するORに対する課題をANDに変えて、二刀流の変革を支援する」と語った。
「エンタープライズ企業」「通信事業者」「政府・自治体」に注力
次に、山中氏は「エンタープライズ企業」「通信事業者」「政府・自治体」が攻めと守りのDXを実現する上で、ヴイエムウェアができる支援について紹介した。同社は、国内ではこの3つの領域に注力していくという。
エンタープライズ企業に対しては、攻めのDXとして、アプリケーションのモダナイゼーションを支えるコンテナ・アーキクテチャ「VMware Tanzu」を提供し、また、守りのDXとしては、企業のクラウド化を最適化するマルチクラウド「VMware Cloud」を提供する。
通信事業者に対しては、攻めのDXとして、低遅延・広帯域が特徴の5Gやエッジをサポートするサービスインフラである「VMware SD-WAN」「VMware SASE」「VMware Telco Cloud Platform」を提供し、守りのDXとしては、高信頼、高品質、コスト競争力のある基盤「VMware Telco Cloud Platform」を提供する。
政府・自治体に対しては、守りのDXとして、職員のモバイル・デジタル化による働き方改革を支援する一方、攻めのDXとして、セキュアで利便性の高い住民サービスを提供するクラウドを提供する。
こうしたDXの支援の基盤となるテクノロジーが、今年発表した「VMware Cross-Cloud Services」だ。「VMware Cross-Cloud Services」は、これまでのサービスを統合して新たなイノベーションを加えたもので、プライベートクラウド、エッジ、パブリッククラウドを抽象化することで、一貫したインフラストラクチャとアプリケーションの実行基盤を提供し、一貫した運用管理とネットワークセキュリティを実現する。
山中氏は、「攻めと守りの二刀流のデジタル戦略はまさに『Power of AND』。われわれはこれを実現していく」と、力強く話を締めくくった。