UiPath(ユーアイパス)は12月1日、UiPathプラットフォームの最新版「UiPath 2021.10」の提供開始を発表した。
「UiPath 2021.10」では、特に「エンタープライズ規模の管理運用」「自動化業務の連携」「プラットフォームの拡大」「ユニバーサルプラットフォーム(クラウドとオンプレミスの融合)」といった強化ポイントのもと、100以上の新機能・強化機能を提供するという。
エンタープライズ向けでは、管理運用の強化とガバナンス・セキュリティの向上が図られた。
UiPath マーケティング本部 プロダクト&イベントマーケティング部 部長 原田英典氏は、「RPAは以前は部門単位で導入していたが、最近は全社で導入、ロボットが10万以上のこともある。そのために必要なのが、管理運用のサポートだ」と、機能強化の背景を説明した。
Self-Healing 機能は、自動化プロセスが稼働する複数の端末の正常性やリソース状況を監視するという。また、「自動化環境の自動更新」機能では、UiPath Studio、UiPath Robots、UiPath Assistantを、管理者が指定したバージョンにワンクリックで自動更新できるようになった。
ガバナンスおよびセキュリティ面では、CrowdStrikeとのエンドポイント保護統合を実現する。PCは人がいることを前提にしているが、RPAは無人で動かすことが多いので、そのためのセキュリティ強化だという。
さらに、シングルサインオンとして、Azure Active Directory(Azure AD)およびEasy SSOとの連携を図っている。
プラットフォームの拡大では、買収したCloud Element社との統合をさらに進め、UiPath Integration Serviceとして、200以上のクラウドサービスのAPIコネクタを提供。さらに、クラウドサービスをトリガー(きっかけに)、処理を起動することが可能になった。例えば、salesforceにデータが追加されたタイミングでロボットを起動するといったことが可能だという。
さらに、「Cross-Platform Robot」機能の提供を開始し、UiPath RobotsがLinux上でも動くようになった。今後、MacOSにも対応する予定だという。
自動化業務の連携では、自動化業務サイクルの「発見」製品であるUiPath Process Mining、UiPath Task Mining、UiPath Automation Hubが、すべてオンプレミスおよびクラウドの両方で実行できるようになったほか、自動化業務サイクルの発見サイクルの連携強化として、UiPath Automation HubとUiPath Studioが連携し、開発の際に自動化パイプラインと開発環境を紐付けられるようになることで、進捗も把握しやすくなるという。
ユニバーサルプラットフォーム(クラウドとオンプレミスの融合)では、シングルインストール式のコンテナ化パッケージにより、UiPathの全サーバー製品をKubernetesでコンテナ化するとともに、組み込み済みのプラットフォーム管理ツールと統合して提供する。
また、Automation Cloudについて、Automation HubとTest Managerが、新たにSOC2に対応。Automation Cloud のログを出力するなどクラウドストレージの連携強化も図っているという。
同社では、今回の新製品を「セマンティックオートメーション」の第一歩と位置付けている。
セマンティックオートメーションとは、オートメーションが自己学習によって、企業の業務や個人の仕事におけるビジネス上の文脈を理解し、自動化対象業務やその自動化ためのワークフローの提案を行い、人間はその最終判断を行うというもの。
UiPath 代表取締役CEO 長谷川 康一氏は、セマンティックオートメーションについて、「UiPath はRPAの会社からEnd to Endで自動化を提供するとオートメーションの会社になっている。UiPathは、AIが自己学習するのと同じように、End to Endで自動化を自己学習して、自動化の範囲を広げ、人間は最終判断することを目指している。セマンティックオートメーションは、あらゆる業務の文脈を理解し、会社、個人の文脈も理解することによって新しい自動化を定義して、それを顧客に示して、自動化を自ら実行できることを目指している。そうなれば、人間がAIやRPAの使い方を知らなくても、やりたいことを指示することによって、ロボットが文脈を理解し提供できるようになる」と述べた。