ジェイテクトは11月30日、フルモデルチェンジした東海旅客鉄道(JR東海)の新型車両「N700S」の車軸に、自社の軸受が使われていることを明らかにした。

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    JR東海の「N700S」 (提供:JR東海/ジェイテクト)

同社では、自社の車軸軸受は、高速化に伴う到達時間短縮への貢献や高い信頼性が評価され、初代0系新幹線より、歴代の新幹線に採用され続けていると説明している。

また、N700Sでは、車軸軸受の容量を前モデル「N700」比で10%増強することで、設計最高速度の向上に伴い増加する振動や動的(ダイナミックな)荷重を支え、安心・安全性を確保したとするほか、ローラ形状の検討を重ね、新幹線1編成あたり搭載される128個の車軸軸受をより低トルクな軸受へと変更したことで、新幹線を駆動するモータの消費電力低減を可能としたともしている。

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    N700Sに採用された軸受の外観と構成 (提供:ジェイテクト)

さらに、軸受内部の形状を改善し潤滑油の流量をコントロールすることで発熱を抑制する独自の低発熱化技術によって、軸受に使用する潤滑油の劣化を軽減。潤滑油の交換頻度を減らすことを可能とし、車両メンテナンスコストの削減を可能としたとしている。

このほか、自社大型軸受技術開発センター内に設置した高速鉄道車両軸受試験機にて行った、新幹線の実走行条件を再現した試験評価にて車軸軸受の信頼性を確認したともしている。

なお同社ではN700Sの次の新幹線を見据え、さらなる高速化への対応として、軸受だけでなく潤滑油を保持する軸箱内部の構造も含めた「潤滑油の流れの可視化」や「コンピュータによる流れ解析シミュレーション」を合せた取り組みと、高速鉄道車両軸受試験機による検証によるさらなる低昇温な車軸軸受の開発のスピードアップを図っていくとしている。