シトリックス・システムズ・ジャパンは11月24日から26日にかけて、年次イベント「Citrix Future of Work Tour 2021 Japan - Digital」をオンラインで開催した。今年のテーマは、「人を中心に新たな働き方をデザインする - Redesigning the Future of Work -」であり、テレワーク、セキュリティ対策、BCP対策、モバイルデバイス活用などに関連したソリューションや国内事例が紹介された。

本稿では、アサヒグループホールディングスにおける、人的資本をいかに効率的に活用するかというHR(ヒューマンリソース)マネジメント領域での「Wrike」の活用例を紹介する。「Wrike」はプロジェクト管理ツールで、シトリックスは今年1月にWrikeを買収した。

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「Wrike」を導入した背景について、アサヒグループホールディングス IT&Transformation Team グローバル・ソリューション・アーキテクトのクドウクニアキ氏は、「タスクやプロジェクトの進捗状況を見える化することで、組織やデータのサイロ化などの問題を最小限にすることを期待した。今後はHRマネジメントの効率化やパフォーマンス効果の最大化の実現を図りたい」と説明した。

  • アサヒグループホールディングス IT&Transformation Team グローバル・ソリューション・アーキテクト クドウクニアキ氏

Wrikeを導入する前に、同社ではExcelベースでのプロジェクト管理が主流だったが、タスクが見える化されていないことから、チームメンバーの作業進捗状況やタスクの重複が発生することもあったという。

グローバルなプロジェクトで必要となるシステムの開発・デザイン、開発プロセスの標準化を担当するクドウ氏は、「私を含め、チームメンバーのタスクは『その人でないとできない』ものは少ないものの、属人化が発生してしまい、それがプロジェクトのデッドロックになりがちだ。ツールを活用してタスクをテンプレート化、フレームワーク化し、誰でも閲覧できるようになることが、HRマネジメントの効率化につながると考える」と語った。

同社人事部では、採用の選考プロセスの管理などのルーチン業務にWrikeの導入を進めている。人事部では紙や口頭での引き継ぎが定着しており、業務プロセスの整理に時間がとられてしまっているうえ、特定のスタッフが同一業務を担当することによる業務の属人化という課題も生じている。

Wrikeの導入で、今後は採用したい人材像やジョブの認識を共有するほか、タスクや進捗を可視化することで、ルーチン業務の計画的な実施を目指すという。

アサヒグループホールディングス 人事部 Deputy Managerの河口美菜氏は、「エンジニアの採用活動で先行してWrikeを導入してみたが、情報共有のやりとりが記録されるので、『言った言わない』が起こらないし、オンラインや対面のミーティングをほぼ行わずに情報共有ができている。人事部での本格導入では、業務効率化で創出できた時間を業務改善や戦略立案に充てるなど、プラスアルファの取り組みに注力したい」と語った。

  • アサヒグループホールディングス 人事部 Deputy Manager 河口美菜氏

アサヒグループホールディングス Value Creation室 シニアマネージャーの大江輝明氏は、チームメンバーの状況管理でWrikeを活用している。「従来なら1on1での会話や、その都度のチャットで進捗を確認していたが、ガントチャートやカンバン方式でワークフローを管理することで、タスク間の依存関係がわかるうえ、確認もピンポイントで済んでいる」と大江氏。

  • アサヒグループホールディングス Value Creation室 シニアマネージャー 大江輝明氏

社内のDX推進(デジタルトランスフォーメーション)に向けて、データ利活用の促進のプロジェクトを担当する大江氏は、今後は会社横断のデータ利活用プロジェクトにおけるコミュニケーション促進にもWrikeを利用するという。このほか、データ分析基盤の開発・運用チームとのコミュニケーションでは、GitHubとの連携も視野に入れる。

「現状、レビューの詳細を確認するため、異なるツールを行ったり来たりする必要があるが、GitHubとWrikeを連携させることでリードタイムの短縮につながるのではないかと考えている。また、将来的には変更を加えたコードをマージするうえでの承認や本番環境へのデプロイも一体的に進めていきたい」(大江氏)