京都大学医学部附属病院(京大病院)と新医療リアルワールドデータ研究機構(PRiME-R)は11月26日、がん診療におけるリアルワールドデータ利活用に資する新たな医療情報基盤システムを開発したとして、運用を開始すると発表した。

リアルワールドデータとは、臨床の現場で得られる医療データを構造化して蓄積したビッグデータであり、レセプトデータや電子カルテデータなどが含まれる。

今回新たに開発したシステムは、「がん診療におけるリアルワールドデータ収集に関する多施設共同研究(CONNECT)UMIN000044646」内で扱われる。同研究に参加する各医療機関内に蓄積された、電子カルテ入力支援システム「CyberOncology」のデータベースから、自医療機関内の治療成績や有害事象情報などの診療データを集計して図式化するとともに、CSV形式への出力を実現する。

  • システムの概要図

また、エッジコンピューティング技術を用いることで、研究に参加する各医療機関内で個人情報を特定できないよう秘匿化した統計データを生成し、PRiME-Rのデータセンターへ送信する。これを基に、データセンターでは異なるベンダーの電子カルテを利用する多施設から送信された統計データを統合的に処理して各医療機関へ展開する。

両者は同システムによって、医療機関にとって自医療機関内および研究に参加する医療機関全体の治療内容や有害事象情報が閲覧可能となるため、医療安全や医療技術の向上に資する新たな医療情報基盤の実効性や機能の高度化を実現できるとしている。

  • データを統合して分析する画面イメージ