Googleは11月25日、がん研究会有明病院とAI(人工知能)を活用した乳がん検診の研究に向けて共同研究契約を結んだと発表した。
同共同研究では、2007年から2020年の間に同病院の乳腺センターおよび健診センターで撮影され、匿名化された特定不可能な個人約2万人の女性のマンモグラフィを使用し、機械学習モデルのパフォーマンス分析を実施する。これらのマンモグラフィ画像は、同共同研究での利用のみを目的として、Google Cloudに暗号化した上で保管される。
国立がん研究センターによると、乳がんは日本で罹患率の高いがんの一つであり、日本では毎年約9.5万人、世界では約230万人が診断されているという。一方で乳がんは、早期発見によって命を落とす可能性が非常に低くなることが報告されている。しかし、日本では検診率が45%程度と低く、改善には実際に受診する人数を増やす施策だけでなく、それを受け入れるためのマンモグラフィ検診における医療基盤の拡大が必要とのことだ。
Googleは、これまでにアメリカとイギリスの専門家と共同で、検診用マンモグラフィから乳がんを特定するための機械学習モデルを開発し、2020年に学術誌「Nature」に発表した。今回の共同研究では、この機械学習モデルの有効性を検証し、日本における乳がんの早期診断と疾病管理の発展を目指す。
がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長の中村祐輔氏は「がん検診にAI技術を利用することは、多くの方が検診を受けても、診断の精度を保ちつつ、放射線科診断医の負担を軽減することにつながる」とコメントしている。