MediaTekは、5Gスマートフォン(スマホ)向けアプリケーションプロセッサ「Dimensity 9000」を発表した。
フラッグシップチップとして位置づけられており、同社の説明では、TSMCの4nmプロセス(N4)を採用して製造されたSoCであり、Apple A15 Bionicと同等のCPU性能と、GoogleのTensorチップを超えるAI性能を発揮するとしているほか、QualcommのSnapdragonやSamsungのExynosが採用しているSamsungの製造プロセスよりも低消費電力を実現するともしている。
SoCとしては、CPU、GPU、APU(AIプロセッサ)、ISP(映像信号プロセッサ)、ビデオコーデック、5Gモデムなどの機能を搭載。CPUとしては、3.05GHzで動作するArm Cortex-X2プロセッサ×1と、2.85GHz動作のCortex-A710プロセッサ×3、1.8GHz動作のCortex-A510プロセッサ×4を搭載しているほか、8MBのL3キャッシュと6MBのシステムレベルキャッシュを集積し、性能優先あるは消費電力優先の設定によってそれぞれを使い分けられるようになっている。また性能は、従来チップ比で35%向上、消費電力は同37%向上しているという。
GPUにはArmのMali-G710MC10コアを採用。従来比で性能が35%向上し、電力効率は60%向上したとする。また、ゲームを中心に120fpsのフレームレートを実現できるともしている。さらにメモリはLPDDR5x(最大7500Mbps)をサポートしたほか、AIプロセッサとしては、独自設計の高性能ならびに低消費電力のDSPコアを使いわけることで電力効率を改善。ISPについても、写真3枚を合成して明るさのダイナミックレンジを拡張する処理を可能とし、320Mピクセルカメラのサポートと併せて、写真をより高画質なものとすることを可能にしたとしている。
このほか、5Gモデムとして3GPP Release-16標準テクノロジーに準拠。サブ6GHzの活用により、3CCキャリアアグリゲーションで7Gbpsのダウンリンクを実現できるとしている。
Samsungがハイエンドスマホ向けSoCとして採用か?
今回のDimensity 9000の発表に前後し、一部の海外メディアが、Samsung Electronicsが、スマホのハイエンドモデルに採用する可能性が高いと報じている。もし、採用となれば、SamsungはAndroid向けフラッグシップSoCとして、Qualcomm Snapdragon 8 gen1、Samsung Exynos 2200、MediaTek Dimensity 9000の3製品を採用する唯一のサプライヤとなるという。また、Samsungの次期フラッグシップスマホ「Galaxy S22シリーズ」では、QualcommならびにSamsung製SoCを使用することが決まっている模様であるため、その場合はタブレットに採用されるのではないかという見方もある。