日本オラクルは11月22日、開発者やデータ・サイエンティスト向けのAIサービス「Oracle Cloud Infrastructure OCI AI」を発表した。VP Product Management AI Services and Data ScienceのElad Ziklik氏は、新サービスの特徴について、「専門家ではない開発者が機械学習を深く知らなくても、ビジネス課題を解決するためにAIを適用することを可能にするサービス」と説明した。

  • 米Oracle VP Product Management AI Services and Data Science Elad Ziklik氏

現在、Amazon Web Services、Microsoft、Googleなど大手ITベンダーもAIサービスを提供しているが、企業は「汎用的な数十億のパラメータに動くのではなく、自社のビジネスに役立つAIをほしがっている」という。そのため、「OCI AI」は、同社の知見や関連するユースケースを活用してトレーニングが済んだモデルを提供する。ユーザーはこのモデルを使わずに、自社が所有するデータに基づいてサービスをカスタム・トレーニングすることを選択することもできる。

Ziklik氏はこれまでMicrosoftで働いていたそうだが、「私はAzureのビジネスに従事している時、クールなAIの開発に取り組んでいた。しかしオラクルでは、AIをつまらないものにする――つまり、AIをつまらないビジネスプロセスやビジネスアプリケーションで使えるものにすることに取り組んでいる」と語っていた。そして、「業務アプリケーション、クラウドサービス、データベースと、ビジネスに必要なテクノロジーをすべて持っているオラクルは、ビジネス向けのAIを届けられるいいポジションにいる」と、同氏は語った。

「OCI AI」は、同社のAI、機械学習、データ ・ サイエンス製品群である「Oracle AI」の中核と位置づけられている。

  • 「Oracle AI」における「Oracle Cloud Infrastructure AI」の位置づけ

「OCI AI」は6つのサービスから構成される。「OCI Language」は、文書、顧客フィードバックのやり取り、サポート・チケットおよびソーシャル・メディアに記載されている非構造化テキストを理解するために、大規模なテキスト分析を実行する。同サービスには、事前にトレーニングされたモデルが組み込まれているため、機械学習の専門知識がなくても、センチメント分析、キーフレーズの抽出、テキスト分類、 固有表現抽出 などをアプリケーションに適用できる。

「OCI Speech」は、数千人ものネイティブ言語スピーカーと非ネイティブ言語スピーカーを対象にトレーニングされたモデルによる自動音声認識を提供し、リアルタイムでの音声認識を実現する。

「OCI Vision」は、画像認識およびドキュメント分析タスク用に事前トレーニングされたコンピュータ・ビジョン・モデルを提供する。同サービスにより、製造における視覚的な異常を検出したり、ビジネス・ワークフローを自動化するためにフォームからテキストを抽出したり、画像内の品目にタグ付けして製品の数や出荷件数を数えたりすることができる。

「OCI Anomaly Detection」はビジネス固有の異常検出モデルで、数種類のプログラミング言語に対応した REST API とSDKが提供されているため、異常検出モデルをビジネス・アプリケーションに簡単に組み込むことができる。組み込むことができます。高度な安全性要件を満たせる特許取得済みのMSET2アルゴリズムをベースに構築されており、不正検出、機器の故障の予測、複数のデバイスからのデータの受信による障害予測などに活用できる。

「OCI Forecasting」は機械学習と統計アルゴリズムによる時系列予測を提供する。同サービスにより、製品需要、収益、リソース要件などの重要なビジネス・メトリックのための正確な予測を迅速に作成できる。

「OCI Data Labeling」は、AI モデルをトレーニングするためのラベル付きデータセットを構築できるようにユーザーを支援するサービス。ユーザーは、ユーザーインタフェースや公開APIを用いて、データの組み立て、データセットの作成と閲覧、データ・レコードへのラベル適用が行える。ができます。ラベル付きデータセットをエクスポートし、オラクルのAIおよびデータ・サイエンス・サービス群のモデル開発に使うことで、デル構築に一貫性を持たせることが可能だという。

オラクルはクラウドサービスを提供する上で、競合に対し、価格優位性をアピールしているが、「OCI AI」も同様だという。Ziklik氏によると、「OCI Language」100万文字までは25セントで利用できるそうで、「AIで稼ごうとは思っていない。よって、競争力があるサービスとなると思う。こんなに安いんだったら、すべてのデータにAIを適用したいと思ってもらいたい」と語っていた。