富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)は11月18日、HOYAのIT子会社であるHOYAデジタルソリューションズの買収を発表した。
両社の間で株式譲渡に関する契約が締結し、富士フイルムビジネスイノベーションはHOYAデジタルソリューションズの全株式を取得した。2022年1月1日からは、「富士フイルムデジタルソリューションズ」として新たにスタートする。
今後、同社はDX(デジタルトランスフォーメーション)領域での事業成長を目的に基幹システムビジネスへの参入を図る。具体的には、Microsoft Dynamics 365の販売および導入支援を主力事業と位置づけ、推進していく。
同日に開催した記者会見にて、富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの真茅久則氏は、「従来、複合機を中心とした事業を展開してきたが、今回の買収を契機に企業のDX推進の領域でビジネスを展開する。基幹システム導入のビジネスを、複合機の次の柱となる中核事業に成長させたい」と語った。
今回の統合に合わせて、富士フイルムビジネスイノベーションは、自社および同社の生産・調達や販売を担う国内外の子会社すべてが利用する基幹システムと、その他の情報システムをMicrosoft Dynamics 365に刷新し、クラウドベースのシステムに統合する。
Microsoft Dynamics 365の導入・支援事業を展開するにあたり、同社は社内と社外のDX推進プロジェクトを立ち上げる。先行して自社で同サービスを導入し、自社で実現できたDXのノウハウを他社にも提供していくねらいだ。
「当社でMicrosoft Dynamics 365を使ったシステムを立ち上げていく中で、さまざまなテンプレートを用意していく予定だ。それらのテンプレートをクラウド上で、お客さまにも提供することで、従来のシステムインテグレータとは異なるサービスを提供していけると考える。自社で作って、実際に使ったものを提供する新たなビジネスモデルとなる。新事業は年率4%以上の成長を目標としている」(富士フイルムビジネスイノベーション 執行役員 アドバンスドインダストリアルサービス事業本部長 井上あまね氏)
自社内でのMicrosoft Dynamics 365の導入にあたっては、2022年にシステムエンジニア業務管理で導入を開始し、2023年以降、ERP(販売・物流・会計)分野、CRM(営業支援)業務にまで順次展開する。将来的には保守サービス業務、コールセンター、生産分野のほか海外販売会社にも展開する予定だ。
同社はこれまで、自社の基幹システムおよび情報システムにオラクル社のERPをベースにしたシステムを利用してきた。
富士フイルムビジネスイノベーション 取締役 常務執行役員でDX推進・基幹システム刷新プロジェクトを管掌した稲永滋信氏は、「レガシーシステムが乱立しているわけではないが、順を追って必要な機能を追加してきたため、すべてのシステムがシームレスにつながっていたわけではなかった。今回のシステム刷新でERPのみならず、CRMサービスやPower Platform上のツールとオープンでシームレスにつなげる」とシステム刷新の内情を明かした。
また、富士フイルムグループ全体では、Microsoft Azure上への経営情報の一元化を進めており、システム変更と併せて同プロジェクトにも対応するという。