要素技術から応用分野まで幅広い組み込み・エッジテクノロジーの世界を垣間見ることができる「ET & IoT 2021」が11月17日より、神奈川県のパシフィコ横浜にて開幕した。台湾Nuvoton Technologyの日本法人であるヌヴォトン テクノロジー ジャパンは、親会社であるウインボンド・エレクトロニクスと共同でブースを出展。メモリ技術などのほか、開発中のメモリコンピューティング技術を用いたエッジAIマイコンの紹介などを行っている。

  • エッジAIマイコン

    「ET & IoT 2021」におけるヌヴォトンブースのエッジAIマイコン紹介コーナーの様子

このエッジAIマイコンは、同社の前身となるパナソニック セミコンダクターソリューションズが北海道大学や産業技術総合研究所などと共同研究を進めてきたアナログ抵抗変化素子(Resistive Analog Neuro Device:RAND)技術を応用発展させたもの。ReRAMとプロセッサ(特に指定はなし)、AIの前処理、AI推論エンジン(メモリコンピューティング)、AIの後処理、各種インタフェースなどを搭載した低消費電力マイコンとして実用化を目指しているという。

具体的には、推論に必要な重みをアナログ値で持つことでコード量をデジタル比で1/10と小さくすることができるようになり、直接メモリに入力することを可能としており、これにより重みメモリを読むためのエネルギーの削減などを図ることができ、推論を実行した場合であっても、マイコン全体としての消費電力は約10mW程度で済ませることができるという。

また、実際にエッジAIマイコンとして活用してもらうために、AIモデルの自動生成ツールなどもハードウェアと並行して開発を進めているという。

すでに、エッジAI推論の機能評価が可能な試作チップ(180nmのReRAM製造プロセスを採用)とコントロールマイコンを組み合わせたPoC基板は用意されているが、実際のエッジAIマイコンについては、ReRAMを中心に、どういったプロセスを採用して製造するのか、といった部分を含めて検討を進めていく必要があるとのことで、数年程度のスパンでの商品化を考えているとしている。

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  • エッジAIのPoC基板と評価基板。試作チップはPoC基板の裏側に実装されている