要素技術から応用分野まで幅広い組み込み・エッジテクノロジーの世界を垣間見ることができる「ET & IoT 2021」が11月17日より、神奈川県のパシフィコ横浜にて開幕した。ヤンマーホールディングスは、2台のカメラのみを用いて、人・農機などの距離計測・物体検知のほか、圃場のうねや稲などの作物の領域判別を行うことを可能とする「ヤンマー環境認識システム」の紹介を行っている。
自動運転技術の開発は自動車を中心に進められているが、そうした自動車の自動運転は一般的な道路を対象としており、作物やあぜ道、田んぼといった状況に対応が難しいことから、農業機械などを手掛けるヤンマーが自ら、そうした用途に適した技術開発を開始したという。
自動運転としてはLiDARやToFカメラの利用も考えられるが、同社担当者によると、光学カメラであれば距離の計測以外の応用や、製品種類が多く必要に応じてカスタマイズを行うことなどができるため、カメラのみで実現することを目指しているという。
最初のターゲットとしては、農業分野の耕運/耕起を想定しており、こうした技術の実現により、農業への参入障壁を下げ、日本の農業活性化の支援につなげたいとしている。開発スケジュールとしては、なるべく早く実用化にこぎつけたいとしており、今後は、現在は開発中ということで、コントローラにはNVIDIAのJetson AGX Xavierを採用しているが、耐環境性などを考慮し、Jetsonで行くのか、ほかのコントローラに変えるのかといった判断や、農地などでの利用時の検知能力などの精度向上に向けた実証を今年度ならびに来年度の2年間で行っていき、その後、商用化の判断を行う予定としている。また、商用化の際には、自社のトラクターなどに搭載するだけではなく、システム単体をサードパーティなどに販売し、その適用範囲の拡大も図っていきたいともしている。