Snowflakeは11月17日、年次イベント「SNOWDAY」を開催し、クラウド・データプラットフォーム「Snowflake」の新機能を発表した。日本で開催された説明会では、米Snowflake 製品担当シニアバイスプレジデントのクリスチャン・クレイナマン氏が、「開発のスピードアップ」「グローバルなオペレーション」「新規ビジネスの創出」というテーマの下、新機能を紹介した。

  • 米Snowflake 製品担当シニアバイスプレジデント クリスチャン・クレイナマン氏

開発のスピードアップを実現する新機能としては、開発フレームワーク「Snowpark」の一部として、Pythonがクラウド・データプラットフォーム「Snowflake」にネイティブに組み込まれることが紹介された。「Snowpark for Python」により、Snowflakeのセキュリティやガバナンス、パフォーマンスを活用して、最適化されたパイプラインやアプリケーション、機械学習のワークフローを構築することが可能になる。「Snowpark for Python」は現在、プライベートプレビュー版が提供されている。

クレイナマン氏は、「Snowpark for Python」について、「今回、JavaやScalaに加えてPythonをサポートすることで、ユーザーに選択肢を提供する。Anacondaとのパートナーシップにより、Pythonのオープンソースライブラリにシームレスにアクセスできるようになっている」と語った。

そのほか、「Snowpark」には、「手順のすべてを Snowflakeに保存する機能」「非構造化データの処理」「ロギング・フレームワーク」という機能が追加された。いずれもプライベートプレビュー中だ。Javaを用いた非構造化データの処理をSnowflakeで行うことが可能になり、構造化データの処理に使ってきたデータガバナンス、コピーといった機能が非構造化データにも使えるようになる。クレイナマン氏は「非構造化データのサポートは初めてであり、大きな発表」と語っていた。

「グローバルなオペレーション」に関しては、「複数のクラウドアカウント間におけるレプリケーションのサポート」「レプリケーションパフォーマンスの向上」「ガバナンス機能の拡張」が行われている。

クレイナマン氏は、レプリケーション機能の改善について、「データが安全かつ一貫性を持った形で、クラウドのリージョンをまたがってデータを利用することが可能になった。ロール、クラスタなど、一つの地域から動かせるようになった」と説明した。また、データレプリケーション機能の効率が上がったことにより、同社の顧客は最大55%のパフォーマンス向上を実現しているという。Snowflakeは従量課金制であるため、同氏は「パフォーマンスがよくなると利用時間が減るので、料金も減る。コスト効率のよい形で利用できる」と述べた。

「新規ビジネスの創出」に関しては、データマーケットプレイスの新機能が紹介された。今回、ユーザーがマーケットプレイスでデータを購入する前にトライアルをすることが可能になり、また、プロバイダーは従量課金モデルを利用できるようになった。

続いて、Snowflake 社長執行役員の東條英俊氏が、日本のビジネスの最新情報について説明した。同氏は、これまでAWS(Amazon Web Services)上で「Snowflake」を提供してきたが、今年10月に「Microsoft Azure」の東日本リージョン上でも提供を開始したことを紹介した。

  • Snowflake 社長執行役員 東條英俊氏

東條氏は、日本市場のハイライトの一つとして、ユーザーベースが拡大していることを紹介した。ユーザー数は公開していないが、昨年同期に比べてユーザー数は4倍に伸びており、業種業界も多岐にわたっているという。

もう一つのハイライトとしては、本語によるテクニカルサポートの提供が紹介された。分析基盤として、日本企業に使ってもらうには、日本語でテクニカルサポートを提供する必要があるとして、リソースも増やしたそうだ。

最後に、東條氏は日本市場における取り組みとして、これまで目標として掲げていた6つの項目がすべて完了したことを明らかにした。これまで、「技術者養成トレーニングクラス(有償)の日本語による提供」と「テクニカルサポートの日本語での提供」が進行中だったが、完了したという。