NECは11月16日、映像分析に利用される基本要素である物体検知処理を、検知精度を維持しつつ効率的かつ高速に実行できる「漸進的物体検知技術」の開発を発表した。
同技術は、高速だが精度が劣る物体検知AIモデルと、高精度だが演算量の多い物体検知AIモデルを組み合わせ、それぞれの利点を活かして効率的に複数の画像を処理することにより、高速・高精度な検知を実現する。具体的には、まず高速な物体検知AIモデルによって粗い精度で複数検知し、その検知結果をまとめて高精度な物体検知AIモデルで処理することにより検知対象を徐々に(漸進的に)精緻化し、分析する。
同技術は特定の検知対象や特定の処理方式に限ることなく、「人」や「人の関節点」、「車両」や「車両のナンバープレート」などの検知対象に応じた多様な物体検知処理に対応している。カメラ映像から車両のナンバープレートを検知する例では、精度の高い物体検知AIモデルを単独で使用する場合に対して、同技術では検知精度を維持しつつ、約8倍の処理速度を実現した。
映像分析をリアルタイムに行うには、カメラなどのセンサーの近くのエッジ機器で処理を行うことが理想だ。しかし、エッジ機器では廃熱・冷却が難しく消費電力が制限されるため、高性能サーバで使用されるGPUなどの高性能プロセッサーを利用できず、処理能力に制約がある。精度の高い物体検知AIモデルは演算量が多いため、処理能力に制約があるエッジ機器では、大量の映像の処理を行うことが難しいという課題があった。
今回、同社が開発した技術を適用することで、処理能力に制約があるエッジ機器でも大量の画像の中から分析対象を効率的かつ高速・高精度に検知し、リアルタイムでのカメラ映像の処理や複数台カメラの同時処理を行うことが可能になる。