満月の時に月の一部が欠けて見える部分月食が、19日の夕方から宵にかけて起こる。今回はピーク時に大部分が欠けるため、全体が欠ける皆既月食にかなり近い状態となる。5月の皆既月食が全国的に悪天候だったこともあり、今回への期待が高まっている。
国立天文台の資料によると、月食の始まりは午後4時18分。北海道や東北地方北部以外ではこの時はまだ月が出ておらず、欠け始めてから昇る「月出帯食(げつしゅつたいしょく)となる。最も大きく欠けるのは6時2分。その後、空を昇りながら地球の影から出ていき、7時47分に月食が終わる。時刻は、月が見える場所ではどこも同じだ。
特に前半は月がまだ低い位置にあり、東の空が開けた場所で見る必要がある。最も欠ける時の高度は札幌で19.7度、東京で17.3度、那覇で5度。低さを逆に生かし、地上の風景と一緒に写真に収める楽しみ方もある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止のため遠出は控え、他人との接触を極力避けたい。
月食は太陽光が当たる地球の影の中を月が通過することで、地球から月が欠けて見える現象。太陽と地球、月の順で一直線に並ぶ満月の時に起きる。ただし地球から見た月の通り道(白道)が太陽の通り道(黄道)に対し少しずれているため、満月の度に月食が起こるわけではない。今回は最大で月の直径の97.8%が影に入り、皆既月食に近い状態になる。
皆既月食では、月が赤銅色などと呼ばれる赤みを帯びることが多い。部分月食では通常、影の色ははっきりしないが、今回は皆既に近いため、最も大きく欠ける頃には色づいて見える可能性もあるという。
国内で今年、一般にも見やすい天文現象は今回のほか、5月26日の皆既月食と、8月半ばの「ペルセウス座流星群」が特筆された。しかし前者は全国的に天気に恵まれず、後者も8年ぶりの観測の絶好条件とされながら、ピークと予想された13日未明には悪天候だった。好天なら今回の月食を楽しみたい。
全国で見られる次回の月食は、来年11月8日の皆既月食。次の部分月食は2023年10月29日。今回以上に大きく欠ける“ほぼ皆既月食”は86年11月21日に起こる。
なお、1カ月後の来月19日は地球と月の中心を結んだ距離が約40万6000キロと、今年最も遠い満月になる。最も小さく見えるはずで「ミニマムーン」とも呼ばれるが、見た目で大きさや明るさの違いに気づくことは難しい。
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