2021年11月17日~19日にかけてパシフィコ横浜で開催される、組み込みとエッジコンピューティング技術の総合展「ET&IoT 2021」に先駆けて「ET/IoT Technology AWARD 2021」の各賞の受賞者が発表された。
同アワードは、組込業界の発展と国内産業の競争力向上に寄与する、優れた組込技術や製品、ソリューション、サービス、IoT技術を発掘し、その成果と功績を国内外に広く顕彰することを目的に開催されており、ET&IoT 2021の出展企業から募ったエントリー製品から、産・学術界と関連メディアによって構成された審査委員会が受賞製品・技術を選出したもの。
今年は20のエントリーがあり、その中からまず10の製品・サービス・技術が一次審査を通過、最終審査を経て「Embedded Technology 優秀賞」にNECの“映像解析AIチップの利用効率改善による物体検知高速化技術(漸進的物体検知技術)”が、「IoT Technology 優秀賞」にインフィニオン テクノロジーズ ジャパンと新日本無線の“60GHzスマート電波センサーモジュールNJR4652 シリーズ”が選出された。
Embedded Technology 優秀賞に選出されたNECの“映像解析AIチップの利用効率改善による物体検知高速化技術(漸進的物体検知技術)”は映像解析におけるAI処理を2段階に分けて実行し、計算リソースの限られたエッジ環境で高精度処理と高速処理の両立を実現した物体検知技術。
高速だが精度の劣る軽量推論モデルを用いて認識対象を粗く検知し、次に認識対象候補の画像を集約。最後に、集約画像に高精度推論モデルを適用して詳細な解析を実行する。車両ナンバープレートの検知で、高精度推論モデルだけを用いた場合と比べ、認識精度を維持しつつ、1秒あたりの処理画像枚数で7.7~8倍の高速処理を実現したという。
審査委員会は受賞理由に関して「精度と性能のバランスがとれた実用性の高い物体検知技術である点を高く評価した。顔認識などニーズの高いアプリケーションに対して、プライバシーに配慮したソリューションを提供できることも評価を高めた。階層化した認識手法は汎用性が高く、幅広いアプリケーションへの横展開が期待できる点にも注目した」と説明している。
一方、IoT Technology 優秀賞を受賞したインフィニオンと新日本無線の“60GHzスマート電波センサーモジュール「NJR4652 シリーズ”は、インフィニオンのアンテナ内蔵60GHzレーダーセンサーICとArm Cortex-M4Fを搭載したMCU「PSoC6」などで構成するセンサモジュール。開発にあたって、インフィニオンと新日本無線が協業した。
入退出検知や存在検知、位置検出、ジェスチャー検出、バイタル情報検出などでの利用を想定しており、技術基準適合認定(技適)を取得済みのためユーザーは開発工数の削減を図ることができるという。
モジュールの外形寸法は10mm×13.4mm×1.2mmとコンパクトで、薄型化に新日本無線の技術を用いたとしている。
審査委員会は受賞理由として「ジェスチャーによるタッチレス制御や人流検知、見守り(安全確認)を高精度で行える製品であり、COVID-19や高齢化対応という市場性や社会的意義の大きさを高く評価した。技適認定済みや小型モジュール化という使い勝手の良さにも注目した」としている。
なお、ET & IoT 2021の初日となる11月17日11時30分から展示会場内センターステージにおいて授賞式を行い、受賞企業および一次選考を通過した企業によるスペシャルピッチプレゼンも実施される予定とのことだ。