韓国の半導体ウェハメーカーSK Siltronが、SK Hynixの清州工場内の遊休クリーンルームを利用して2022年7月からSK HynixのCMOSイメージセンサ向けに300mmエピタキシャル成長シリコンウェハの製造を始める計画であることを韓国メディアが報じている。

SK Hynixの子会社でシステムLSIやファウンドリビジネスを担当するSK Hynix System LSIは、SK Hynix清州工場内の200mm製造棟で操業していたが、韓国内には大手のSamsung Foundryがあり、競争が厳しいため、事業拠点を中国の無錫に移して中国顧客向けビジネスの強化に舵を切る方向にある。そのため現在、200mmウェハ対応製造装置の無錫工場への移管作業が2022年上半期の完了予定で進められている。

今回のSK Siltronの取り組みは、その跡地に残されたクリーンルームを借りて、SK HynixのCMOSイメージセンサ向け300mmエピウェハを製造しようというもの。SK HynixはSK Siltronの顧客であり、CMOSイメージセンサ事業部からのエピウェハの供給拡大要請を受け、もっともはやく量産を開始できる方策として、今回の手法が提案された模様で、すでにエピタキシャル装置の一部が設置され、試運転を始めているという。また、もともと半導体工場であり、建屋などはそのまま残されることから、投資金額も抑えられるともしている。

SK Hynixは現在、最新世代となるCMOSイメージセンサがSamsung Electronicsの新型折り畳み式スマートフォン「Galaxy Z Flip 3」に採用されるなど、存在感を増してきているが、先行するトップグループのソニーやSamsungなどに追いつことを目指し、集中的な投資を行うことを検討しており、ウェハ確保に向け、同じSKグループのSK Siltronに協力を要請した模様である。

具体的には、従来CMOSイメージセンサ向けには200mmウェハを用いてきたが、300mmウェハへ転換することで生産効率の向上を図ろうとしている。

SK Siltronの清州新拠点における300mmエピウェハの生産能力は当初計画としては月産2~3万枚と見られている。バルクのシリコンウェハを亀尾の本社工場で製造し、エピ層形成を新拠点にてApplied Materialsのマルチチャンバ方式のエピ製造装置を使って行うという。

なお、同社関係者によると現在、長期計画の一環として、今回の清州工場でのエピウェハ製造とは別に新たなシリコンウェハ生産工場の建設に向けた候補地の選定が社内で進められているという。

現在、シリコンウェハ業界では、業界2位のSUMCOが日本と台湾に新工場を建設する予定としており、業界トップの信越半導体も新工場の建設を検討していることを明らかにしている。同3位の台GlobalWafersは、独Siltronicの買収手続き中で、この3社がそれぞれシェア3割前後でトップ争いを演じることになり、残されたシェア10%ほどのSK Siltronがどのような戦略で生き残りを図るのかが注目される。

  • SK HynixのCMOSイメージセンサ

    SK HynixのCMOSイメージセンサ (出所:SK Hynix Newsroom)