日本ガイシとリコーは11月12日、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の発電から消費、余剰発電の電力貯蔵用NAS電池への放充電までの全てのプロセスを追跡する実証実験を開始すると発表した。再エネをより簡易かつ確実に取引できる仕組みの構築を目指すという。実証実験は、恵那電力(岐阜県)において2022年度から開始する。
恵那電力は現在、恵那市公共施設の屋根や遊休地に太陽光発電設備(PV)やNAS電池の設置準備を進めている。今回の実証実験においては、発電した再エネの環境価値を可視化するために、リコーが開発するブロックチェーン(分散型台帳)技術と恵那電力の設備を活用した再エネ流通記録プラットフォームを構築する。
日本ガイシとリコーはNAS電池を活用した再エネトラッキングの制度化や標準化に向けて、「配電網内への再エネ導入量拡大と利用最大化」「異なる配電網間での再エネ融通」の2つのケースを想定した実験を実施する予定だ。
「配電網内への再エネ導入量拡大と利用最大化」では、変電所以下の配電網内の再エネの発電と消費をリアルタイムで追跡し、余剰分の再エネを確実にNAS電池に充電することで、基幹系統に流れ込む逆潮流を抑制する。これによって、上位系統の送電容量に制約がある場合でも安定して再エネの追加導入が可能となる。
「異なる配電網間での再エネ融通」では、変電所以下の配電網で発生した再エネの余剰電力の環境価値を担保したまま、他の配電網へ融通する実証に取り組む。上位の基幹系統の送電容量に制約があり余剰電力を異なる配電網間で融通できない場合はNAS電池に充電し、系統制約がない時間帯に異なる配電網のNAS電池間で再エネを融通することで、地域の地産地消率向上を目指す。