半導体市場動向調査会社である米IC Insightsが、過去3年間のDRAMの平均販売価格(ASP)と販売高を分析したところ、DRAMの在庫がセットメーカーに積み増されていることなどを背景に2021年9月以降、DRAM価格は下落傾向となっていることから、2021年第4四半期のDRAM市場規模は7四半期ぶりに前四半期比でマイナス成長となるとみられるという。
DRAMのASPは2021年1月の時点で3.37ドルであったのが、8月には4.77ドルにまで上昇した。しかし、9月のASPは4.62ドルと若干の下げ基調となったという。メモリバブル崩壊後の2019年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで市場が混乱した2020年はDRAM価格は比較的低い水準で推移した後、2021年に入り価格が急騰しており、9月のASPとしても過去2年に比べれば十分に高い値となっている。
セグメント別の2021年第4四半期DRAM価格動向
2021年に入り、新型コロナ向けワクチンの承認が各国で進んだことから経済活動が活発化。さまざまな最終製品分野からの需要拡大を受け、DRAMサプライヤ各社は2021年に入って以降、第3四半期まで生産を強化。それでも購入意欲が強く、追加注文が入るため、価格の上昇が続いていった。
例えばPCならびにサーバメーカー各社は2021年前半に大量のDRAM購入を進め、半導体不足に対応しようとした。そのため、現在、そうしたメーカーには在庫が積み増しされており、2021年第4四半期には、そうした既存在庫を消費することを優先することを目的として、DRAM購入量を減らす見込みである。結果、PCならびにサーバDRAMの価格は2021年第4四半期に前四半期比で最大5%ほど下落すると予想されるという。
また、スマートフォン(スマホ)を中心とするモバイルDRAMも、クリスマスならびに年末商戦の動きが不透明ということ、ならびに2022年にはさらに価格が下落するという期待からスマホメーカー各社は、2021年第4四半期のDRAM購入を制限し、在庫の削減に注力する動きが見られ、結果として同四半期のモバイルDRAM価格は横ばいとなるとみられるという。
そしてグラフィックスDRAMは、ドライバICやパワーマネジメントIC(PMIC)、その他の周辺回路など、グラフィックスカードを構成するコンポーネントの不足に伴う生産制限から調達量が減るものと予想され、やはり同四半期の価格は前四半期比で0~5%ほどの下落となることが見込まれるという。
なお、DRAM市場は2020年第1四半期に前四半期比でマイナス成長を記録した後、新型コロナの感染拡大の中でも緩やかな成長を続け、2021年に入ると第1四半期から第3四半期まで急速に市場規模を拡大させており、その結果、2021年第3四半期のDRAM市場規模は、2018年第3四半期に記録した過去最高額となる282億ドルに次ぐ規模(260億ドル)を記録している。