日立製作所、エムダブルエス日高(MWS日高)、ソーシャルアクション機構の3者は11月11日、高齢者など日常生活を送る上で必要な移動手段が確保できない移動制約者に対して、オンデマンドの移動サービスの提供に向けた福祉・介護型MaaS(Mobility as a Service)の実証実験を11月15日に開始すると発表した。
ICTを使用する介護予防・介護改善に取り組んでいるというソーシャルアクション機構と日立は、組み合わせ最適化を実現する計算手法を用いて、通所介護施設の送迎計画を高速に自動立案する他、移動制約者からの乗車要求に応じて送迎中の車両とのマッチングを行うオンデマンド送迎の仕組みを新たに開発し、群馬県高崎市内のMWS日高の介護施設でサービスの実証を行う。
実証は2段階で実施される。
第1弾では、介護事業者の送迎業務の効率化に向け、MWS日高の通所介護施設である高崎市の「日高在宅療養支援センター デイサービス」において、組み合わせ最適化を実現する計算手法を使用し、送迎計画を自動立案する。自動立案した送迎計画表に基づく送迎業務や当日発生する利用者や職員の増減に対する再計画業務の実用性の検証を行う。
第2弾では、実証内容を拡充し、送迎計画表に沿って運行する福祉車両と、移動を希望する移動制約者のマッチングを行うオンデマンド送迎の仕組みを検証する。日立が開発したオンデマンド送迎ロジックとソーシャルアクション機構が開発した利用者のスマホアプリや送迎車に搭載するタブレットアプリを連携して実施する。
具体的には、利用者の自宅とスーパーや病院間などオンデマンド送迎のリクエスト送信に対して、送迎途中の車両をリクエスト通りに配車できスムーズな相乗り送迎ができるかどうかや、介護施設の送迎業務への影響がないかといった実用化に向けた検証を行う。
実証に用いる福祉・介護型MaaSのサービス基盤は、利用者ごとに異なる要件を踏まえた快適な送迎計画を高速に自動立案できるという。また、ソーシャルアクション機構が開発したモバイルアプリは、MWS日高の介護ノウハウを取り入れて高齢者でも操作しやすいUIを採用しており、アプリで容易にオンデマンドの配車依頼が可能とのこと。
今後、実証で得たデータから効果検証を行い、介護業界のデジタル・トランスフォーメーション(DX)促進に向け、介護事業者と移動制約者の双方の利便性を両立する新たな交通サービス基盤を実現し、全国への展開を目指す。