b8ta Japanは11月11日、同15日にオープンする国内3店舗目の体験型ストア「b8ta Tokyo ‐ Shibuya」のプレス内覧会を開催した。同店舗は渋谷駅から徒歩約1分と好立地に位置し、全41ブランドが出店する予定。
「物を売ることを主目的にしない小売り」を掲げ、米サンフランシスコ創業のb8taは2020年8月1日に日本に初上陸し、新宿と有楽町に2店舗同時オープンした。同社のビジネスモデルは、製品の展示スペースをさまざまな企業に月額料金で提供するサブスクリプション型だ。出品料は月額約30万円/区画で、最低契約期間は6カ月間としている。
また、店舗内に複数台設置しているAI(人工知能)カメラ、デモグラフィックカメラから得られる年齢層や性別、店内での行動データといった定量的なデータ、また店頭のスタッフが体験客から吸い上げる定性的なフィードバックデータを出展企業に提供。同社はこのビジネスモデルを、RaaS(Retail as a Service:サービスとしての小売り)と呼んでいる。
11日に開催された記者発表会に登壇したb8ta Japan CEOの北川卓司氏は、「東京を訪れる外国人の約4割が渋谷区を訪れ、スタートアップ企業の数も23区内で一番多い。商業施設もたくさんあり、ミレニアル世代やZ世代などの若者も集まる場所で、新宿や有楽町とは違った顧客層が獲得できる」と、渋谷に新店舗を出店する狙いを語った。
そして今回、新たにオープンする渋谷店では、「より進化した体験型ストアを見据えた実証実験店舗」とコンセプトを掲げ、新宿店と有楽町店にはないさまざまな新しい取り組みを実践している。
まずは、店舗前の人流データの獲得だ。デンソーウェーブと同社の持つ人流データ計測技術を用いた店頭マーケティングの実証実験を実施している。自動車の自動運転技術などに活用されている「3D-LiDAR」という技術を活用。
カメラ画像を使用せず広い範囲の人流を計測することが可能で、個人、性別の特定、プライバシーの侵害をせずにマーケティングデータを収集できるとしている。
同店舗の前半径約15メートルの人の流れも含めて継続的に測定し、時間帯に応じた来店者の傾向変化など幅広いデータを測定する。同実証実験は1年間行われる予定。「店内カメラから得られるデータと組み合わせることで、店の前を通る人がどれくらいの割合で入店してきたかが分かる」(北川氏)
また、同店舗限定の専用アプリも開発。商品紹介のQRコードをアプリ内で読み取ることで、詳細をその場で確認でき、帰宅後も店内で体験した商品情報を閲覧することが可能となった。
同アプリはQRコードを読み取った商品の情報を記録するだけでなく、実際に体験した商品に関するアンケートに回答することも可能で、利用者はアンケートに協力すると、スタンプを獲得。たまったスタンプは店内で利用可能なクーポンなどに交換できる。アンケート内容は出展企業によるカスタマイズが可能なため、企業には質の高いフィードバックができるとしている。
さらに新店舗では、既存店舗では取り扱いが少なかった食品カテゴリーを充実させた。日本初進出となるラーメンの次世代自販機「Yo-Kai Express」をはじめ計14品を試飲試食することが可能。
また、新店舗では可動式の什器を導入し、店舗のレイアウトが自在に変えられる仕様にした。什器を使用しない際は壁面に収納でき、日産自動車のクロスオーバーEV「日産ARIYA」の展示が可能になるほど、大きな展示にも対応できる。
北川氏は「什器が移動式なので、店舗全体をイベント会場にするなど、出展企業へさらなるマーケティング活用の場として提供していく」と説明。同社は今後、渋谷店で月間1万人の来客を目指すとのことだ。