半導体調査会社である仏Yole Développementによると、2020年に300億ドル規模であった先端半導体パッケージング市場は、年平均成長率(CAGR)8%で成長し、2026年には475億ドルに達するとみられるという。

Yoleが先端半導体パッケージングとしているのはファンアウト、WLCSP、フリップフロップ、3DIC(3次元積層)、ED(組み込みダイ)などといった新しいパッケージング技術で、中でも3DICはCAGR22%、EDが同25%、ファンアウトは同15%で2020年から2026年にかけて成長すると予想されるという。一方、従来パッケージング市場はCAGR4.3%で成長し、2026年には500億ドル規模に達するとみられるという。

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    先端パッケージング別売上高推移 (出所:Yole)

Yoleによると、先端半導体パッケージングの登場は、半導体製造サプライチェーンのあらゆる面で変化を引き起こしているという。例えば、韓Samsung Electro-Mechanics(SEMCO)、台Unimicron、オーストリアAT&S、新光電機のようなIC/プリント基板メーカーが先端パッケージング分野に進出したほか、半導体アセンブリ・パッケージング/テスト受託企業(OSAT)は、テストに関するノウハウを拡大する一方、既存のテストのみの事業者はアセンブリ/パッケージング機能への投資を進めているとYoleでは指摘している。

さらに、半導体サプライヤとして先端を走るTSMC、Intel、Samsungらも先端パッケージングの技術開発に注力しているともする。例えばTSMCの2020年の最先端パッケージングの売上高は約36億ドルだったが、同社は2021年、SoIC、SoW、InFO、CoWoSなど先端パッケージング事業向けに28億ドルの設備投資を行っているほか、IntelもEMIB、Co-EMIBなど先端パッケージングへの投資を拡大させており、同社が掲げるIDM 2.0実現のための重要な技術と考えている様子がうかがえる。

OSAT各社も先端パッケージング技術に対する投資を行っており、その支出額は2020年で前年比27%増の約60億ドルに達したという。またファウンドリ、基板サプライヤ、 EMSなど、さまざまなビジネスモデルの事業者が、アセンブリ/パッケージング事業への進出を図っているという。

ちなみに2020年のOSAT売上高の国・地域別内訳をみると、台湾が52%、中国が21%、米国15%、韓国6%、マレーシア3%、シンガポール2%、そして日本1%未満という結果となっている。かつて日本国内にも多くの後工程工場や関連子会社を有していたが、そのほとんどが閉鎖・廃業もしくは外資のOSATへ売却されてしまった。

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    2020年のOSAT売上高の国・地域別内訳 (出所:Yole)

なお、1970年から2050年に至る半導体パッケージング技術の変遷をたどると、2000年前後はフリップチップやWLCSPが主流だったが、現在はUHD FO(Ultra High Density Fan Out)や2.5Dシリコン・インターポーザ、EDが主流となっており、今後はハイブリッドボンディングによる2D/3Dパッケージングが主流になるとYoleは見ている。

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    2050年までの半導体パッケージングロードマップ (出所:Yole)