台TrendForceによると、2021年のMLCC(Multilayer Ceramic Capacitors:積層セラミックコンデンサ)の出荷数量は、第4四半期に入り減少傾向となっているという。背景には世界的な半導体不足による部品の入手難に加え、中国の電力不足問題などもあり、最終製品の組み立てが思うように進まないことがあるという。
車載分野からの需要は好調に推移
一方、自動車市場に限れば、MLCCの需要は2021年第3四半期以降も継続して堅調に推移しており、2021年通年の車載MLCCの出荷個数は前年比20%増の4490億個に達するとTrendForceでは予想している。
背景には電気自動車(EV)市場の成長ならびにADASの機能向上などによるMLCC消費量の増加があると見られ、実にEVに搭載される数はガソリン車の2.2倍、ADAS搭載EVでは2.7倍、自動運転EVでは3.3倍となるとTrendForceでは説明している。こうした高い伸びのため、車載分野はMLCCサプライヤ各社にとって、新製品計画と生産能力拡大の取り組みにおいて重要になってきている一方で、EVが求める安全要件などが高いため、参入障壁が高いため、MLCCの平均販売価格と収益性を押し上げることにもつながっているという。
車載MLCCサプライヤとしては、村田製作所、TDK、太陽誘電などの日本企業が強い存在感を示しており、サプライヤは2022年に中国、フィリピン、マレーシアといった海外拠点での車載MLCCの生産能力を拡大し、パワートレイン、ADAS、および通信システムなどに向けて供給する見通し。一方、韓Samsungは、MLCCとしてスモールフォームファクタ、高静電容量、および高電圧品の提供により、パワートレインでの存在感を高めようとしてる。また、YageoやWalsinなどの台湾サプライヤ各社は、インフォテインメントシステムならびにEV充電ステーションでの存在感の向上に向け、RFアプリケーション向け車ならびに高品質品の開発を積極的に進めているという。
なおTrendForceによると、2022年の車載MLCC需要は同25%増の年間5620億個にのぼると予想している。これは、主に車両の電気/電子(E/E)化が継続して進むことによるもので、世界的な環境配慮に伴う各国のガソリン車の販売禁止措置が進むにつれ、EVがMLCCの将来の成長のけん引役になることが予想されるという。