米Microsoftは11月8日(現地時間)、アプリケーションフレームワーク「.NET 6」と、.NET 6をサポートする統合開発環境「Visual Studio 2022」の正式版の提供を開始した。

.NET 6は、少なくとも3年間(2024年11月8日まで)はサポートされる長期サポート (Long-term Support: LTS)の.NETとしてリリースされた。

Microsoftは、2020年に正式リリースした「.NET 5.0」から、「.NET Framework」「Xamarin」などに分かれていたフレームワークを1つのプロダクト体験にまとめるone.NETビジョンの実現を目指している。.NET 6では、新型コロナ禍の影響から先送りされていたXamarinが統合され、Apple SiliconやWindows Arm64を含むデスクトップアプリケーション、サーバーアプリケーション、モバイルアプリケーション、Webアプリケーションに対応するユニバーサルな開発が可能。「.NET Multi-platform App UI」(.NET MAUI)によって、デスクトップアプリケーションとモバイルプリケーションのコードを単一のプロジェクトで記述できる。

Visual Studio 2022は、「個人およびチームの生産性」「モダンなアプリを迅速に開発するためのツール」「コラボーレションやコード支援などへのイノベーションの導入」の3つをメインテーマに、プログラミングを学ぶ初心者から業務に活用するプロまで多様な開発者が利用することを想定して設計された。

最大の特徴は、メインの「devenv.exe」プロセスの64bit化だ。従来は扱えるメモリが最大4GBまでという制限からメモリ不足に陥ってクラッシュすることもあったが、64bitアプリケーション化によって高速になり、複雑なワークロードに合わせた大規模メモリを利用できるようになった。

作業の迅速化については、AI技術を用いたコード補完機能「IntelliCode」が1ライン全体の提案をサポートする。また、コードを変更した際に、.NETおよびC++向けのHot Reloadによって、アプリケーションを動作させながらコードをアップデートし、すぐに変更を確認できるようになった。再デプロイとアプリケーションの再実行の手間と時間を減らして、コーディングに集中できる。

動作要件は、OSがWindows 11バージョン21H2以上、Windows 10バージョン1909以上、Windows Server 2022/2019/2016(StandardおよびDatacenter)。1.8GHz以上の64bitプロセッサ、4GB以上のRAM、最小850MB/最大210GBのストレージ空き領域、WXGA以上をサポートするビデオカードとなっている。

Visual Studio 2022の正式リリース(バージョン17.0)と共に、最初のアップデートになるバージョン17.1のプレビューが始まった。また、「Visual Studio 2022 for Mac」のPreview 3がリリースされた。Apple Siliconネイティブのバージョンの開発も進んでおり、近い将来にプレビューリリースになる予定。