台湾ファウンドリTSMC傘下の200mm専門ファウンドリVanguard International Semiconductor(VIS)は11月2日、2021年第3四半期決算説明会を開催し、同社のFang Lue(方略)董事長が同社初となる300mmウェハ工場の建設を検討していると発言したと台湾メディアが報じている。
VISはこれまで台湾ならびにシンガポールに200mmウェハを4つ有し、その年間生産能力は2021年で約290万枚としている。内訳としては、もともと同社が保有していたFab 1のほか、2014年にNanya Technologyから台湾の2工場を、2020年にGlobalFoundriesからシンガポールの1工場を買収して、生産能力を増やしてきた。
同社はかつても300mmファブの建設を計画したことがあったが、メモリバブルが崩壊し、半導体産業の先行きが不透明になったこと受けて、その計画を取りやめた経緯がある。
200mmファウンドリということで、その製造デバイスとしては、ディスプレイドライバIC、電源管理IC、ディスクリートなどが中心だが、いずれのプロセスについても需要急増によるフル稼働が続いているという。
ちなみに、同社の2021年第3四半期業績は、売上高が前四半期比17.0%増の118億7800万NTドル。純利益は同26.4%増の32億8800万NTドル。売上高に対するプロセス別割合は0.18μm~0.25μmが54%、0.25μmが13%、0.35μmが15%、0.5μmが18%となっている。
同社の新規300mmファブは台湾高雄市楠梓区の高雄製油所跡地に建設を検討している模様であるが、ここはTSMCも2棟の300mmファブを建設し、7/6nmならびに28/22nmプロセスを用いた月産能力8万枚の生産ラインを敷くことを計画しているともうわされている。ちなみに、VIS、TSMCともに公式には同地での計画は明らかにしておらず、あくまで同社周辺からの憶測となっている。
なお、VISは、2021年上期にGaNデバイスのサンプル出荷を顧客向けに開始しており、複数の顧客からGaNデバイスの生産受託を受け、2021年11月から2022年初めにかけて順次テープアウトさせ、2022年下期に、それらの量産を開始させることを目指しているという。ただし、Lue董事長は、次世代パワー半導体は今後20〜30年にわたって需要が見込めるものの、すぐに自社の売り上げ拡大に貢献するものではないともしているという。