東日本電信電話(NTT東日本)、丸紅情報システムズ(MSYS)、ニフコら3社は、エネルギーハーベスティング無線技術である「EnOcean」などのICT/IoT技術を活用して、地域の課題解決や低炭素社会の実現に向けた取り組みを続けている。各社は今回、羽田イノベーションシティ内のCollaboration Show Roomにおいて、取り組み内容の展示を開始すると発表した。なお、今回の取り組みで使用しているエネルギーハーベスティングとは、照明の光や圧力などのエネルギーを電力に変換する技術である。

頻発する自然災害による甚大な被害を経験して、災害時における地域住民の安否確認への対応や、避難所における迅速な現場の状況把握のための仕組みの構築が急務とされる。また、小学校の統廃合などに伴って学区が拡大するなど、児童の通学時間が長くなる傾向にあることから、児童の登下校時の安全に対する保護者の見守りニーズ高まっているという。こうした地域課題に対して各社は、柔軟かつ迅速に対応が可能な自営無線ネットワークの活用を目指す。さまざまな課題解決のための仕組みを実装し、各自治体と共に実証を重ねている。

各社のこれまでの具体的な取り組みの一つに、避難所での避難者人数把握がある。災害時の避難人数把握のため、避難した住民の状況を避難所受付で確認し、属性に応じたボタンを押すだけで当該地区の避難状況を迅速に確認可能なソリューションである。避難所の受付業務や、避難所と災害対策本部間の連絡業務の効率化が期待できるのだという。エネルギーハーベスティング技術を用いることで充電のし忘れなどを省けるため、有事の際に電池切れで機能しないといったリスクを回避可能だ。

  • 「エネルギーハーベスティング無線技術」を活用した、避難所での避難者人数把握の例

さらなる取り組みとして、避難所での安否確認にも同技術を活用している。これは、災害発生時に避難が必要になった際に避難者がセンサーをもって避難することで、地域住民がどの避難所に避難しているかを把握可能なソリューションだ。要支援者の避難状況を容易に把握できるため、地域の消防団などによる避難確認のための巡回作業を効率化する。

  • 「エネルギーハーベスティング無線技術」を活用した、避難所での安否確認の例

また、地域児童の下校見守りにおけるソリューションとして、各社はランドセルなどに装着するセンサーを開発している。センサーから発せられる電波の受信機を学校や自宅などに設置することで、保護者は児童の所在を遠隔地からでも確認可能となる。携帯電話やスマートフォンを持たない自動でも利用可能なシステムである上、充電や電池交換といったメンテナンスも不要な利点がある。

  • 「エネルギーハーベスティング無線技術」を活用した、地域児童の下校見守りの例

今回はこうしたの取り組みの紹介の一環として、「サステナビリティ革新技術に関する第1回オープンフォーラム」において、各社が提供するEnOceanを用いたソリューションを展示するとのことだ。3社は今後について、自治体と協力しながら「福祉・防災・防犯分野」を始めとする地域課題に対し、EnOceanなどのICT/IoT技術を活用したソリューションの提供を続けるとしている。