中堅スペシャルティ・ファウンドリであるTower Semiconductorは11月1日(現地時間)、米シリコンバレーのシリコンフォトニック光学ジャイロスコープ(SiPhOG)専業サプライヤのAnello Photonicsと、低損失のSiNを活用した新たなシリコン光導波路技術とその製造プロセスに関して戦略的提携を行う契約を結んだと発表した。

同技術は、高性能光学デバイスの複雑な結合を必要とする自動車LiDAR、バイオセンシング、量子コンピューティング、人工知能(AI)、マイクロ波フォトニクス、光通信などのさまざまな光学アプリケーションに適用できるという。

その伝搬損失は、波長1550nmの光で、1mm未満の曲げ半径の場合で0.005dB/cm程度であり、他のファウンドリのプロセスと比べて1〜2桁の低損失を実現できるという。そのため、低損失と小さな曲げ半径を組み合わせることで、長い(>10m)遅延ラインや1億を超える高品質ファクター(高Q)を持つ小さなオンチップ共振器を含む新しいクラスの高性能デバイスの製造が可能になるという。

すでに2社は、過去18ヶ月間にわたり共同でこの製造プロセスの開発を進めてきており、Towerでは、同プロセスは、2022年第1四半期からファウンドリサービスとして顧客に提供を開始する予定であるとしている。

Anelloは新技術開発に向け2800万ドルを調達

またAnelloは、特許取得済みのシリコンフォトニック光学ジャイロスコープ(SiPhOG)技術開発のためにシリーズAの資金調達を行い、2800万ドルを調達したことを発表している。この資金調達はNew Legacy Venturesが主導し、いくつかのベンチャーキャピタルに加えてシリコンバレーの複数の著名人を含む個人からの投資も含まれているという。

新しいSiPhOGは、従来の光ファイバージャイロスコープ(FOG)の個別光学コンポーネントに変わり、独自開発のオンチップ導波路とシリコンフォトニックチップを用いたジャイロスコープを組み合わせたもので、これらは費用対効果が高くスケーラブルなシリコンプロセスを使用して製造できるという。また、このセンサ技術については、自動車、トラック、建設、ドローン、航空宇宙、防衛、家庭用電化製品など、さまざまな市場での活用が期待されるとしている。