世界のエレクトロニクスサプライチェーンで生じている半導体不足はいまだに続いており、増え続ける需要に対応するためにファウンドリもフル稼働で生産を続けているものの、市場にはまだ半導体が行き届いていない。

こうした状況であるため、世界のファウンドリトップ10の売上高合計は2020年に前年比24.0%増を記録したが、2021年も同21.3%増となり1000億ドルを超える見通しとなっている。また、2022年についてもTSMC主導で値上げが進むと見られており、同13.3%増の1177億ドルと過去最高値を更新する見通しであるとTrendForceでは予測している。

同社の調査によると、2021年のファウンドリ上位10社の設備投資額合計は同43%増の500億ドル超で、2022年も新ファブ建設と設備投資が継続することが見込まれるため、その設備投資合計額は500〜600億ドル程度となると予想されるという。

  • TrendForce

    ファウンドリトップ10社の売上高合計値推移予測 (出所:TrendForce)

また、2022年の生産能力の伸びをウェハサイズ別に見ると、200mmウェハが同6%増、300mmウェハが同14%増とTrendForceでは予測している。200mmならびに300mmウェハの製造装置の製造コストはほぼ同じと見られるが、200mmウェハの平均販売価格は300mmウェハと比べて安いため、200mmウェハでの増産にファウンドリはあまり乗り気ではないと考えられるという。

また、300mmウェハの生産能力の50%以上は、現在もっとも不足しているプロセスである1X-nm以上の成熟したノードと見られ、2021年の能力拡張はHua Hong WuxiやNexchipなどの中国系ファウンドリが担ったが、2022年は40nmならびに28nmを中心にTSMCとUMCが大半を占めると予想されるという。

多くの電子機器で不足しているのは先端プロセス品ではなく、28nmプロセス以上の成熟プロセスを用いた周辺回路チップで、2022年には当該プロセスの生産能力が増加すれば、年後半には供給不足が若干緩和されると予想されるが、その動きには200mmウェハや1X-nmプロセスの生産能力の動向含めて注視が必要だとTrendForceでは説明している。

特にファウンドリの200mmウェハの多くを占めるPMIC(パワーマネジメントIC)に関しては、5Gスマートフォンや電気自動車の普及により、特に0.18μmプロセス以下のラインが2022年末までフル稼働することが予想され、簡単には不足が解消されることはないだろうとしている。

一方の1X-nmノードに関しては、提供できるファウンドリの数が限られている。TSMC、Samsung、GlobalFoundries(GF)といったところが主流であり、このうちGFのみが2022年に生産能力を拡大させる計画を示している。1X-nmプロセスを用いて製造される半導体デバイスとしては、4G向けSoC、5G向けRFトランシーバ、 Wi-Fi SoC、TV SoC、Wi-Fiルータチップ、FPGA/ASICなどが挙げられるが、生産能力の増加が期待できないため、2022年に生産能力不足が解決される見通しは低いと見られるという。