セゾン情報システムズは10月27日、金融・流通業界向けの事業戦略に関する記者勉強会を開催した。
クレジットカード会社や百貨店、スーパーマーケット、ドラッグストアなどのシステム構築、運用を手掛けてきた同社は、クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」を2022年第1四半期から提供する予定だ(2021年9月15日の取締役会にて決定)。今後は同プラットフォームを基盤に、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するサービスを提供する。
セゾン情報システムズは、「コア事業」と「戦略事業」で得た経験、強みを生かしてSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を果たしつつ、2024年までに「提供するサービスをすべてas a Service化」するなどの目標を実現しつつ、データエンジニアリングカンパニーを目指す構想を掲げる。
コア事業に位置する金融業界向けのフィナンシャルITサービスでは、データ移行サービス、ロボットコール、システム開発から運用までのアウトソーシングといった既存サービスに加えて、クレジットシステム向けに提供してきた機能の一部をSaaS型のサービスとして展開していく。
このほか、コンサルティング領域ではDX促進サポート、開発領域では2024年にサービス提供が終了するNTTのISDNサービス「INSネット」の代替サービスを提供する。
INSネット終了にあたり、金融機関からは既存のEDI(Electronic Data Interchange)の仕組みを生かしたままインターネット接続に適応したい、というニーズが多いという。セゾン情報システムズでは、INS代替サービスとして、クレジットカード情報の統一規格であるPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)準拠のゲートウェイ機能を提供する。
セゾン情報システムズ 執行役員 フィナンシャルIT サービスBU長の朽木実氏は、「金融業界におけるDXをリードし、お客さまのイノベーションを加速させていきたい。最高品質のサービスをもって、お客さまに寄り添いながら短期間で成果を出し、DXを通じて真のITパートナーを目指す」と意気込んだ。
流通、航空、保険事業などにITサービスを提供するもう1つのコア事業の流通ITサービスでは、「時代環境に即した流通を実現する新サービスの創出」「既存のお客さまの基幹系システム最適化」「継続的なセゾン情報システムズブランド向上の取り組み」を事業方針に掲げる。
新サービスの創出では、現在開発中のHULFT Squareを利用して生活者と生産者を結び、効率的な商品流通の仕組みなどにつながるサービスを構想している。
例えば、小売現場における地域別価格最適化(ゾーンプライシング)で発生する価格データの加工や価格算出・変更・設定などの連携を自動化するデータ連携サービスやプライシング提案サービス。また、メーカーの商品データの作成・編集、システム投入向けデータ編集からECサイトシステムへの連携を行うサービスなどが挙げられた。
セゾン情報システムズ 執行役員 流通ITサービスBU長の菊地博氏は、「同様の施策を提案する際、従来は既存の製品を購入していただいていたが、HULFT Squareは月次でのサブスクリプションサービスとして導入いただける」と強調した。
既存顧客の基幹系システムの最適化に向けては、安定・ローコストを満たし、DXへの変化に対応できるシステム刷新と運用サービスを提供する。その一環として、セゾン情報システムズでは2020年からクラウドネイティブ化を進めており、自社のクラウドサービスのプライベートクラウドへの移行が2022年3月期(第53期)中に完了する予定だ。
菊地氏は、「当ビジネスユニットの強みは、お客さまのシステム利用における真の課題を把握しているメンバーが、当社のサービスを使いこなせる点にある。強みを生かして、世界を各国に自由にデータを流通させて、商品がさまざまな場所に届く世界を作り上げていきたい」と語った。