日揮ホールディングス(日揮HD)と横河電機は10月29日、日揮HDのグループ会社である日揮が建設工事を遂行している国内建設現場において、ブロックチェーンと行動経済学を活用したトークンシステムにより現場作業者の行動特性を可視化して、モチベーションの向上を目指す実証実験を実施したことを発表した。

実証実験は、宮城県石巻市で遂行中のバイオマス発電所建設プロジェクトにおいて実施した。好ましい行動特性として「チームワーク」「安全重視」「明るい行動」の3点を定義し、それらの行動特性を発揮した現場作業員に対して監督者がトークンを付与することで、現場作業員と監督者のコミュニケーションのルートや頻度などを可視化したという。

  • 現場作業者に監督者がトークンを付与する様子

実証実験に使用するシステムの構築にあたっては、行動経済学に基づいた設計を行っており、監督者からのポジティブな声かけや表彰などの心理的効果も取り入れている。トークンの付与記録にブロックチェーン技術を活用し、記録の改ざんを防ぐことで作業者ごとに付与履歴の追跡も可能である。

実証実験終了後のアンケート結果により、約6割の現場作業者が同システムをきっかけに好ましい行動を自発的に取るようなったと回答したほか、約7割の監督者が建設現場内に良い変化をもたらしたと回答したことが明らかになった。

さらに、「心理的および経済的報酬の両方が現場作業者のモチベーション向上につながった」という声や、「監督者と現場作業者のコミュニケーションが増加したことで心理的距離が縮まり、作業指示の伝達がスムーズになった」とする声もあったとのことだ。