SK HynixのCMOSイメージセンサは後発のため、シェアはわずかであり、その主戦場もローエンドの低画素領域となっていた。しかし、先般、Samsung Electronicsのスマートフォン(スマホ)「Galaxy Z Flip 3」のメインカメラに採用されるなど、新たな動きがでてきた。

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    SK HynixのCMOSイメージセンサ (出所:SK Hynix Newsroom)

こうした動きを踏まえ、同社はこの度、今後の戦略に関し、CMOSイメージセンサ事業の責任者であるSong Chang-rok氏のコメントとして公開した。

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    SK HynixのCMOSイメージセンサ事業の責任者であるSong Chang-rok氏 (出所:SK Hynix Newsroom)

CMOSイメージセンサ市場はトップシェアのソニーをはじめ、2番手のSamsung以下、OmniVisionやSTMicroelectronics、onsemiなどがひしめき合っている。その中でSK Hynixのシェアはわずか2%ほど(2020年、Yole調べ)である。しかし、Song氏は、「今後、SK Hynixのポジションが大きく変動し、先頭グループに追い付ける」との見通しを述べている。

同氏は、SK HynixのCMOSイメージセンサ事業は13Mピクセル(画素)以下の低画素領域のサプライヤとしてのイメージが強いが、高い付加価値を創出できる32Mピクセル以上の高画素市場での事業拡大に向けた研究開発の強化ならびに生産能力の拡大を続けているとする。

また、その競争力の源泉が「ピクセルの微細化技術」にあるとする。背景には、DRAMでのセル微細化に関するノウハウを蓄積してきた経験があるとするほか、すでにそうした微細化を実現してきた製造ラインがあるためだとする。こうした先行技術を活用することで、短期間のうちに競争力を高めることができるという。さらに、そうして微細化が進むDRAMファブでは、世代遅れとなった製造装置などがあり、「CMOSイメージセンサはメモリと比べ、必要とされるプロセスの微細化度合いは低いが、生産に必要な装置と工程は似ている部分が多い」と、それらを転用できる点はメリットになるとしている。

トップグループに追い付くための戦略

Song氏は、ソニーをはじめとするトップグループに追い付くために、製品ポートフォリオの拡充と開発力の強化を挙げており、そのための3つの戦略を進めるとしている。

1つ目はユーザーエクスペリエンス(UX)とコンシューマエクスペリエンス(CX)の分析力の強化による商品企画力の強化。2つ目は製品開発期間の短縮。そして3つ目は、開発体制そのものの変革であり、現在、韓国、米国、日本の3か国に分散している開発インフラを1つの体系とする試みなどを進めているという。

なお同氏は、CMOSイメージセンサビジネスの今後について、「人間の目のレベルを超え、機能を拡張する方向に向かっており、それに伴って活用の幅が広がっていく」としており、スマート化やインテリジェント化への対応なども求められるようになってくるとの見方を示し、そうしたニーズに対応していくことで、事業の成長を図っていくとしている。